USHIO

光技術情報誌「ライトエッジ」No.9(1997年2月発行)

1996(平成8年)秋期応用物理学会(九州産業大学)

10a-H-6
172nm誘電体バリア放電ランプによるSiO2膜の室温形成(V)
Fabrication Sio2 Films at Room Temperature by 172nm VUV Lamp(V)

東海大(工)、ウシオ電機(株) 0鈴木剛臣、五十嵐龍志、村岡正隆
Tokai Univ., USHIO INC. 0T.Suzuki, T.Igarashi, and M.Murahara

<はじめに>

現在、SiO2膜の形成には、主に熱酸化法が用いられている。しかし、この方法では900~1100°Cもの高温を要し、その高温故に不純物拡散が無視できず、又多くの経費と時間が必要とされる。これに対し我々は、これまでSiO2膜を室温で形成する目的で、ArFエキシマレーザーや172nm誘電体バリア放電ランプ光でNF3とN2OもしくはO2ガスを励起し、この系内に置かれたシリコン基板と化学反応させて、シリコン基板上に連続的にSiO2 膜を形成させてきた[1][2]

今回は172nm誘電体バリア放電ランプとNF3とO2ガスを用いて作成した膜を大気中で加熱し、処理と未処理の試料との特性比較を行ったので報告する。

<実験方法及び結果>

Si基板の置かれたチャンバー内にNF3とO2の混合ガスを封入する。そこへ172nmVUVランプ光を照射すると、FとNO2が生成する。このFがSi基板をエッチングしてSiFnを生成し、エッチングされたばかりのSi基板上に吸着する。このSiFnが雰囲気ガス中のNO2と酸化反応を起こしてSiO2膜が形成する。この吸着と酸化が自発的かつ連続的に行われ、SiO2の多層膜が形成される。Fig.1に加熱処理後の膜のC-V特性を、Fig.2に比加熱の膜のC-V特性を示す。この時の実験条件は、混合ガス比がNF3:O2=15:1、計320[torr]封入し、5分間照射した後、5分間反応させた。その後大気中で120°Cで4時間加熱した。その結果加熱することにより膜の比誘電率は6.96から6.56に減少した。

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