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光技術情報誌「ライトエッジ」No.13(1998年7月発行)

レーザー学会学術講演会第18回年次大会

(1998年1月)

レーザー学会学術講演会第18回年次大会
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エキシマランプ・エキシマレーザー併用照射によるフッ素樹脂の効果的表面改質
Effective Surface Modification of Fluorocarbon resin by using Excimer Lamp and Excimer Laser

畑尾 健、伊藤 伸介、石井 茂美、富田 雅明、池亀 忠広、村原 正隆(東海大学工学部)
K.Hatao,S.Itoh,S.Ishii,M.Tomita,T.Ikegame,M.Murahara(TokaiUniversity)

1. はじめに

フッ素樹脂は、C-F 結合からなる最も化学的に安定な高分子材料であり、電気絶縁性、耐熱性、耐薬品性などの優れた性質を示す。そのため、高電圧絶縁用複合材料や高周波用プリント基板などの複合材料としての応用が期待されている。しかし、フッ素樹脂は化学的に安定なため親水性に乏しく、接着が困難である。これまで、我々は、ArF エキシマレーザー光を用いて光化学的にフッ素樹脂を親水性に改質し、接着性の向上を可能にして来た[1]。さらに、これを工業化するために連続的に表面改質するための装置の開発を行って来た[2]。今回は、エキシマランプ光とエキシマレーザー光の併用照射をおこなうことにより、より簡便にそして安全に効果的な表面改質が実現したので報告する。

2. 実験方法および結果

Fig.1 に実験装置図を示す。Fig.1-(a)の様に、フッ素樹脂表面に水あるいはホウ酸水溶液を滴下し、その上から合成石英ガラスを被せ、毛細管現象を利用して薄液層を形成させる。そして垂直方向よりXe2*あるいはKrCl エキシマランプ光を照射する。その後Fig.1-(b)の様に、合成石英ガラスをはずし新たに水あるいはホウ酸水溶液をランプ照射部分だけに滴下する。そして垂直方向よりArF エキシマレーザー光を照射することによりフッ素樹脂の表面改質を行った。Fig.2 に反応溶液に水を用いて改質した改質表面と水との接触角測定の結果を示す。ArF エキシマレーザーのみを照射した場合、エネ ルギー密度25mJ/cm2、6000 ショットで水との接触角が約30°Cであるのに対して、Xe2*エキシマラン プの照射時間3 分、レーザーエネルギー密度10mJ/cm2、3000 ショットの時、エキシマランプ光のみが照射された場所の水との接触角は約50°Cまで、さらにエキシマレーザー光が照射された蜴所は約30°Cまで向上することが明らかとなった。

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