USHIO

光技術情報誌「ライトエッジ」No.16

レーザー学会学術講演会/第19回年次大会
28aV4

(1999年3月)

CBO結晶の育成と評価

Growth and characterization of CBO single crystal
A:(株)ウシオ総合技術研究所、B: 大阪大学大学院工学研究科
影林由郎 A,B、森勇介 B、佐々木孝友 B
Yoshio Kagebayashi A,B, Yusuke Mor B and Takatomo Sasaki B
A: Ushio Research Institute of Technology Inc., B: Osaka University

はじめに

次世代リソグラフィ光源として発振波長193nmのArFエキシマレーザーが検討されている。しかしエキシマレーザーは、寿命が短い、メンテナンスコストが高いといった欠点を有しており、これらの問題を克服した全固体レーザーの実現が期待されている。193nmを和周波発生する非線形光学結晶の条件として、吸収端が短いこと、実効非線形定数が大きいことが重要になる。CsB3O5結晶は吸収端が167nmで、紫外域において実効非線形定数が大きいので、193nm和周波発生用結晶として期待できる。しかし、現在までCBO結晶の光学特性や非線形特性についての報告はあるが、結晶育成に関する具体的な報告がない。今回、大型のCBO単結晶育成に成功し、得られた結晶の光学特性として屈折率分布と分光透過率を評価したので報告する。

実験及び結果

結晶育成にはセルフフラックスを用いたカイロポーラス法とした。温度降下速度を0.1°C/dayとし、シード回転数を変化させて結晶育成を行った。シード回転数25rpmで育成した結晶は白濁したが、シード回転数を60rpmのとき、インクルージョンやクラックのない単結晶が育成できた。図1は育成した結晶の一例を示す。得られた結晶の最大の大きさはa×b×c=45×41×44mm3だった。得られた結晶を8×7×5mm3にカットし、屈折率分布をフィゾー干渉計によって測定した。その結果、1×10-5程度であり、実用上問題がないことがわかった。和周波を発生する際、~2µm 域から吸収端付近の透過率を明らかにする必要がある。図2はCBO結晶の分光透過率を示す。193nm付近に吸収がなく、熱の発生も少ないと考えられる。深紫外光発生用として使用に耐えうる良質な結晶が育成できた。

図1 as-grown CBO結晶

図2 CBO結晶の分光透過率特性

参考資料

表1.Outline

表2.はじめに

図3.193nm発生用全固体レーザーの構成

表3.非線形光学結晶の比較

表4.本実験の目的

表5.育成条件

図4.CBO結晶(シード回転数:30rpm→25rpm)

図5.白濁部の粉末X線回折

図6.多結晶化の考察

図7.CBO結晶(シード回転数:60rpm)

図8.結晶断面写真

図9.フィゾー干渉計実験配置

図10.フィゾー干渉計透過波面

図11.分光透過率特性

表6.まとめ

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