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光技術情報誌「ライトエッジ」No.19

第1章 特集 映像…デジタル化時代に向けて

(2000年7月)

1. 映像特集発行にあたって

マルチメディアという言葉がマスコミに持てはやされて十数年が経つが、ここ数年でやっとその姿が鮮明になってきたように感じている。その中心となるコンピュータも形や性能を変え、この大きなトレンドを現実のものとするために、日進月歩で進化を見せ続けている。

今回この「映像特集」を企画したのは、このマルチメディアというトレンドの中で大きな地位を築きつつある「映像技術」というキーワードを様々な角度から分析・整理することがこの次のステップを予測するために役立つのではないかと考えたからである。職場での会議や商店でのデモンストレーションに使われるデータプロジェクタ、次世代の大型TVとして注目されているリアプロジェクションTV、ゲーム用やビデオ鑑賞用として普及しつつあるホームユース用フロントプロジェクタ、シネコンを中心に復活の兆しを見せた映画業界をさらに牽引していこうとしている、e-cinema用デジタルプロジェクタなど様々な形でプロジェクタは我々の生活や職場に入りこもうとしている。

映写機・プロジェクタの技術的発展は表示デバイス・光学系・回路・光源などの複合技術の進歩によって支えられているが、ウシオ電機の主製品であるランプもこれらの周辺技術の変化や進歩を受けてここ数年で大きく変わろうとしており、後で詳細を述べる通り今日では様々な技術的進歩の結果、「映像用光源の総合メーカ」としての地位を築きつつある。

映画を文化としてのみならず産業として捉えているアメリカは、政府が中心になり、国防産業なみの壮大な構想のもとに産官学一体となってこの業界を育て上げようとしている。我々もそれぞれの映像分野で関連企業がお互いの技術を持ち寄って、官学とともにこれからの映像技術を更に発展させるために協力し合えるような一種のコンソーシアムを作るべきかも知れないが、本企画がそのトリガーの一翼にでもなれたら幸いである。ウシオ電機の歴史は映像産業の発展に触れること無しには語れないが、これからもより良い光源を開発・提供することで業界の発展に貢献していきたいと考えている。

本号では映像として、シネマ産業とプレゼンテーション用映像機器に焦点を置き、技術の変遷や現状および将来への展望という一連の流れに沿っての展開を図った。合わせて映像にとって欠かすことのできない「光源」と、ウシオグループがどのように映像産業に関わってきたかということを盛り込ませていただいた。

最後に、このたびは日頃お世話になっている方々に本企画の趣旨をご理解頂き、お忙しい中執筆という形でご協力頂いたことに対し、ここに改めて御礼の言葉を述べさせて頂き挨拶の言葉とさせて頂く。

(松本 正志)

注)本誌でのトレードマークについて

ILA(Image Light Amplifier)、D-ILA(Direct-drive Image Light Amplifier)はJDT(HJTが2000年1月に社名変更)、JVCのトレードマーク

DMD(Digital Micro Mirror Device)、DLP(Digital Light Processing)はTexas Instrumentsのトレードマーク

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