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光技術情報誌「ライトエッジ」No.20(2000年12月発行)

日本電球工業会報

(2000年7月号)

―― ハ ロ ゲ ン 電 球 ――

白岡 久広
(ウシオ電機(株))

ハロゲン電球は、商用電圧反射形が家庭用照明に普及しつつあり主力製品になっていくことが窺える。また、低電圧反射鏡形においては赤外反射膜付きが高照度又は長寿命として店舗用に投入されて今後の柱になると予想される。これらが欧州のハロゲン電球のトレンドであることが確認できた。

1. 室内照明用の光源

室内照明(家庭用)として3つのフロアに360社余りが展示しておりその7割程度を見て歩いた結果、使用されている光源はハロゲン電球、白熱電球が半々程度であり、蛍光ランプはほとんど無かった。

一般照明用のハロゲン電球の欧州市場が年間約3億本(1998年)で、うち60%は室内照明用と言われているがそれを実感させられた。ハロゲン電球の内訳としてはここ数年で急速に伸びてきた230V50Wに代表される商用電圧反射形が1/4、従来からある12V50Wに代表される低電圧反射形が1/2、ピン形口金形が1/4の感じである。

なお、市場価格の一例としてフランクフルトのデパートにおいて60W白熱電球が約3マルク(約180円)、低電圧反射形ハロゲン電球が約15マルク(約900円)であったことを紹介しておく。

2. 商用電圧反射電球

商用電圧反射形電球は、直径50mm、GZ10又はGU10口金、230V、50Wが主流であるが、例えば「GZ10、50W」で通用するほど一般的になっている。

IECでの規格化検討もFDIS投票の終了まで進んでおりAmendment 13として間もなく発行されるであろう。欧州メーカーはもちろんあるが、中国メーカーも多くが展示していた。230Vともなるとフィラメントが長くなるが、オスラム社では石英バルブ自体を凹ませてフィラメントをサポートしている(耐振性に優れているとのこと)が、中国メーカーなどではブリッジを使用してM 字形のフィラメントにしていた。

この電球はトランスが不要であり今後室内照明用としてさらに伸びていくものと見られる。

なお、興味深いものとしてコンコードシルバニア社で前面ガラスに「⇒」引を刻印(というか浮き彫りに)しており、ねじって取り外すものであることが一目で分かるようにされていたことである。ピン形と誤って無理やり引き抜くことを防止したものと思われる。こういう細かな配慮は参考になる。

3. 低電圧反射形電球

低電圧反射形では、発光管表面に赤外反射膜をコーティングしたものが展示されていた。オスラム社は片口金形でフィリップス社は両口金形でそれぞれ発光部が球形に加工されその部分にコーティングされていた。

オスラム社では照度計と電力計を一緒に展示して、従来比2 倍の照度又は30%省電力の謳い文句を目に見える形にしていた。商用電圧反射形との競合をどうするのか尋ねたところ、このタイプの狙いは店舗照明用とのことで、競合しない方向である。

4. ピン形電球

ピン形の電球は、卓上スタンド、壁面アクセント、シャンデリアタイプで根強い人気があるようで、そのために(保護シールドを付けなくてもよい)低封入圧形電球が開発されたのが理解できた。

5. その他

日本で駐在され当工業会のハロゲン電球技術委員会で何度か情報交換を行ったことのあるD 氏に再会し、展示品について詳しく説明していただいた。外国でも技術者は説明員をするのだなあと、変に納得した次第である。

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