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光技術情報誌「ライトエッジ」No.32(2009年5月発行)

機器・試薬セミナー(日本臨床検査自動化学会)

(2008年12月)

次世代全血免疫分析装置「バナリストエース」と
専用試薬「バナリストエースCRP」のご紹介

柴田善浩1)、竹廣敦1)、森敏博2)、松本茂樹3)
1)株式会社三和化学研究所
2)ローム株式会社
3)ウシオ電機株式会社
Key Word : CRP、µTAS、 POCT

はじめに

今回紹介するバナリストエース及びバナリストエースCRPは、微細加工を得意とする半導体メーカーのローム(株)、ランプメーカーのウシオ電機(株)、診断薬メーカーの三和化学研究所の3社による異業種間のコラボレーションにより、製品化に成功した。バナリストエースCRPはµTAS(micro total analysis system)技術を活用し、マイクロチップ内で血球分離から検体秤量、試薬との混合攪拌等の一連の動作が完結する仕組みになっている。今回はバナリストエースの製品概要を紹介し、取得されたデータの一部を報告する。

作動・動作原理

チップの2次元バーコードにより、チップ情報を装置が自動認識し、プログラムに従って装置が動作し、測定が開始される。測定はチップに遠心力を与えることにより送液、秤量、混合攪拌等を繰り返すことで行われる。最終的に反応液が検出路へ進み、その吸光度変化率を測 定することでCRP濃度が算出される。

評価結果

(1)再現性:

同時再現性はCV値0~7.1%、日差再現性はCV値2.5~4.6%と良好な結果であった。

(2)直線性:

3種類の検体で希釈系列を作成し、検討したところ、良好な直線性であった。

(3)共存物質の影響:

「干渉チェックAプラス」(シスメックス)を用いて共存物質の影響を検討したところ、ヘモグロビン(494mg/dL)、遊離ビリルビン(19.1mg/dL)、抱合ビリルビン(21.6mg/dL)、乳ビ(1590FIU)の影響は確認されなかった。また、リウマチ因子(55IU/mL)の影響も確認されなかった。

(4)プロゾーン現象:

95mg/dLまでプロゾーン現象は確認されなかった(20mg/dL以上は「high」と表示される)。

(5)相関性:

自動 分析 装置との相関 性は 、回帰直 線 式y=0.9671x+0.0819、相関係数R=0.998であった。

結語

極微量の全血で、CRPを高い精度で測定することを可能にし、小児や新生児のように得られる検体が微量な状況においても簡易にCRPを測定することができる。また、操作が容易なことからPOCT機器としても臨床の場で活用されることを期待する。

今後の展開

バナリストエースは、最大10項目までの検査項目を登録することが可能であり、今後は、CRPのみならず、測定ニーズの高い検査項目のチップ化に取り組んで行きたい。

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