USHIO

光技術情報誌「ライトエッジ」No.34(2011年3月発行)

JETI 9月号(ジェティ)

(2010年9月)

LED事業とLED電球関連技術

松岡智己
ウシオライティング株式会社

1. LED 事業について

近年、省エネ、環境負荷削減に向けての活動がワールドワイドで展開されるなか、ウシオライティングとしても、この流れを真摯に受けとめ、次世代の新製品開発を進めている。

なかでもLEDについては、ランプメーカとして、さまざまな既存光源が持つそれぞれの価値を十分に認識したうえで、どうすればLEDの価値を最大限に引き出せるか、どう使えば最大の省エネ効果が得られるか、光をどう“進化”させていくべきかを考えつつ、事業の進展を図っている。

2. ウシオライティングのLEDコンセプト

日進月歩でLED の技術や性能が飛躍的に進化を遂げている現在、ウシオライティングとしても、開発のスピードを加速させることはもとより、他社との差別化を図るうえで、さらに一歩踏み込み、“光のJust in Time(ジャストインタイム)”提案を展開させている。

これは、“必要な光を、必要なときに、必要なだけ”使用することを前提に、さまざまな光源のなかからTPOに応じた環境に優しい光を選択し、提案、普及を図るものである。

そのなかで、ただ単に既存の光源を否定するのではなく、LEDがその効果を十分に発揮できるシチュエーションではLEDを、そうでない場合はハロゲンランプ、HIDランプなど既存の光源も選択肢に加え、“Just inTime”な光源を提供していく。

この発想から生まれたのが「LEDIU(レデュー)」注1)LED電球で、光の質、特性のみならず、形状までも、既存の光源に対して高い互換性を有している。

3. 「LEDIU(レデュー)」 L ED電球

3.1 LEDIU LED フィラメント電球「Let(レット)」

長年慣れ親しんできた白熱電球のよさであるイメージ、雰囲気、光源特性に価値を見いだし、白熱電球に代わるものでありながら、これら価値をLEDで再現すべく開発に着手、すべてをクリアするとともに、既存のインフラで使用できる製品として完成させたのが「Let」である。

「Let」は、LEDを従来型白熱電球の発光部分と同様なフィラメント状に搭載したもので、光源部分に蛍光体の調合技術と、独自のLEDマウント方式を採用し、光の色やランプ形状を従来型の白熱電球に近づけるとともに、従来型白熱電球10Wと同等の明るさ注2)を実現した。

これにより、LED照明は“点光源で眩しい光”という一般的なイメージを払拭、従来の白熱電球が発する温かい光色を再現し、それぞれの照明空間がもつ雰囲気に合わせた演出が可能になる。

【主な技術的特長】

(1)独自の蛍光体調合技術

白熱電球や装飾電球の温かい発光色に近づけるために、蛍光体調合技術を駆使し、2,500K、2,700Kの色温度を実現した。

(2)LED透明パッケージの採用

LEDパッケージは通常片面発光ですが、逆転の発想で独自に開発した透明パッケージの採用により、表裏を問わない全方位での発光を可能にした。

(3)3次元マウント構造

従来型白熱電球のコイルフィラメント形状を再現するため、透明パッケージに収めたLEDをフィラメント状にし、3次元にマウントさせた。この独自のマウント構造により、光をより均質に分散させ、柔らかな光を見せることができる。

【主な用途】

屋内間接照明、 装飾照明

写真1. Let 左から、グローブ球(口金E17)、シャンデリア球(口金E17)

写真2. 点灯比較 左:Let 右:5Wタイプ白熱電球

3.2 LEDIU LED 電球ミニレフランプ形

既存のミニレフランプ形白熱電球は、おもに店舗やオフィスのスポットライト、ダウンライトとして使用されているものだが、昨今の“省エネ”、“環境負荷低減”といった流れのなかで、LED化が進んでいる。しかしながら、ユーザが求める明るさ、性能、形状を満す、本当に互換性のあるLED電球にまではいたっていないという声がある。

これに対して、「LEDIU LED 電球ミニレフランプ形(以下、LEDIU LED電球)」は、ユーザの要望をすべて満たす、“真の意味で既存のミニレフランプ形白熱電球と互換性の高いLED電球”をコンセプトに開発をすすめ、製品化したものである。

LEDIU LED電球は、表面実装タイプの1W高輝度LEDを3個搭載し、ミラー(反射鏡)、レンズと組み合わせることにより、3.5Wの消費電力で既存のミニレフランプ形白熱電球40Wと同等の明るさ、これまでにはない光の広がり、ムラのない均一な光、20,000時間の長寿命、寿命末期まで光量の減衰が少ない光を提供する。

また、放熱性、絶縁性を考慮したアルミナセラミックボディを採用することで、白熱電球代替のLED電球で見かける放熱フィンがないスマートなデザインと高い放熱性を両立させるとともに、白熱電球用の調光器対応注3)を実現したことで、既存のミニレフランプと取り換えても、明るさ、光のイメージ、空間の雰囲気に対する違和感がない。

2010年8月30日からは、ハロゲンランプ用E11口金のソケットで使用可能なE11口金タイプを販売開始した。本製品はJDRΦ50ハロゲンランプ20W(中角タイプ)相当の明るさ(最大光度600cd)注4)を実現している。

【主な技術的特長】

(1)1W高輝度LED

LEDパッケージには、熱による出力低下を抑えるため、高い熱伝導率と優れた放熱性能をもつアルミナセラミックを使用。さらに特殊処理を施したことで、寿命末期まで光束の減衰が少ないという特性がある。

(2)独自のミラー(反射鏡)

これまで培ってきた光学設計、光制御技術をベースとした、細かい表面カットそれぞれに最適な曲率を与える設計手法と、3次元配光シミュレーション、光線追跡により、3つのLEDが発する光を最適制御するとともに、集光効率の向上および照射ムラの低減を実現した。

(3)ユニークなレンズ

配光制御と光拡散性能に優れるレンズは、ミラーによって集光された光をミックスする効果を発揮するユニークなものである。

(4)アルミナセラミックボディ

LEDは熱による品質、性能の劣化、効率や明るさの低下がネックになることから、とくに放熱性は、製品性能と密接にかかわる重要なファクターとなる。そこで、「LEDIU LED電球」のベース部にも、放熱性、絶縁性に優れているアルミナセラミックを採用し、熱による影響を最小限に抑えている。

【主な用途】

商業施設、店舗、住宅、ホテル、レストランなどの屋内照明、スポット照明、ディスプレイ照明、スタンド照明など。

写真3. 上:LEDIU LED 電球ミニレフランプ形 下:主要構成部位

4. 今後の方向

今後、特に一般照明用白熱電球のリプレイス需要がさらに高まると考えられることから、白熱電球が発する温かい光色といった質、イメージ、光源特性を忠実に再現したうえで、一般照明において求められる明るさを満たす製品の開発を、今後も引き続き進めていく。

同時に、“省エネ”、“環境負荷低減”といった特性を強く意識し、長期的にユーザの利便性を向上させるための標準化、高品質化を確立させる。

Copyright © USHIO INC. All Rights Reserved.