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光技術情報誌「ライトエッジ」No.37〈特集ウシオの新しい取り組み第二回〉 2012年6月発行

光源

原稿読み取り用LEDモジュール

多田 元典

1.はじめに

原稿読み取り用LEDモジュールの開発は、2つの方式が主流で進んでいる。1つはアレイ方式、もう1つは導光棒方式である。図1にその模式構造を示す。図1に示すように、アレイ方式は、基板上にLED(数十mA)を50個程度並べて、原稿読み取り領域を直接照射する方式である。導光棒方式は、LEDを導光棒の片側、または両側に配置し、導光棒を介して原稿読み取り領域を間接照射する方式である。それぞれのメリット、デメリットを表1にまとめる。

アレイ方式は、微小電流でLEDを点灯させることから発熱が少なく、熱によるLEDの効率低下がない状態で使用できるが、必要照度を得るために数多くのLEDを使用する。そのため、LEDの個体差が照度分布、色度のばらつきにつながるというデメリットがある。このばらつきの低減については、LEDの前面に光を分散させる部材を配置することで対策を実施している。

導光棒方式は、LEDの使用数量が1~2個であることから、LED自体の個体差が少ない状態で使用でき、特性ばらつきが少ないというメリットがある。ただ、必要照度を得るためには大電流(1A程度)が必要となり、発熱による効率低下と発熱対策が必要となる。

ウシオでは、導光棒方式のメリットである光量ばらつきと色度ばらつきが少ないことを重視し、デメリットである発光効率と発熱を技術課題として取り組むことにした。

図1. 模式構造 (アレイ方式 、導光棒方式)

表1. 方式別のメリット、デメリット

2.導光棒の開発の取り組み

それでは、ウシオが取り組んでいる内容を紹介していく。

まず、ウシオでは、光の利用効率が高い導光棒の開発に取り組んだ。

利用効率のアップについては、原稿読み取り光源のモジュールとして求められる機能を基に検討した。求められる機能を表2に記載する。

表2から、利用効率アップの手段として、モジュール設計時に検討できる光の集光性(出射の位置・方向・量)にて利用効率が改善できると考え、項目3に着目し、2分岐モデルの導光棒を開発した。2分岐モデルの導光棒の基本的な構成を図2‒1、2に示す。

図2‒1は、モジュールの2分岐モデルのレイアウトである。LEDモジュールは、主要部品のLED、基板、導光棒、リフレクタから成る構成で、図2‒2はモジュール断面である。

2分岐の特徴は、直接原稿面に照射する光とリフレクタを介して、間接的に原稿面に照射する光に分けたことである。この分岐により、光に指向性を持たせたことで、アパーチャ等で広範な領域を照射する場合に比べて、必要部分に照射する光を多くすることができ、利用効率の改善が図れた。

ここで、導光棒の光の出方を図3に参考例として添付する。図3に示すように導光棒は、LEDから出る光を、プリズムを使って正反射させることで照射方向を変え、原稿面に照射する機能を持たせている。プリズムで反射せずに透過した光は、導光棒の背面にある拡散シートを使って拡散反射され、透過光を再利用することで光の利用効率をアップさせている。ウシオでは、このように2分岐モデル、拡散シートなどを取り入れて、光の利用効率を改善した。

現在では、さらに導光棒形状に工夫を加えて、さらなる利用効率の改善を図っている。図4にその構成を示す。図4に示すように、プリズム面をパラボラ化することで、プリズム面近傍の拡散光を光取り出し方向に集光でき、光利用効率の改善が図れた。

表2. 原稿読み取り用光源モジュールに求められる項目と機能

図2-1 LEDモジュール構造

図2-2 A-A’ モジュール断面

表図3. 光取り出し方法

図4. 導光棒形状の改善

3.LEDモジュールのラインアップ化の取り組み

次にLEDモジュールのラインアップ化に取り組んだ内容を紹介する。

原稿読み取り光源モジュールでは、低速~高速印刷や紙サイズにあわせて、それぞれ異なった要求があるため、要求に合った製品を揃えた。それぞれに求められる現行面照度と提案仕様を表3に示す。その他の光学特性(長手配光分布、断面配光分布)については、ウシオ独自の光学設計、構造設計にて部品形状をカスタム対応している。

ここで、ウシオにて量産化しているモデルの一例を図5に示す。図5は、A3サイズの両側入光のパラボラ導光棒を採用したモデルである。実機へのキャリッジ搭載ができるレイアウトをとり、電源についてもオリジナル対応をしたことが特徴である。

表3. LEDモジュールのラインアップ

図5. 縮小光学系 A3 中速モデル

4.今後の課題

最後に今後の課題と取り組みについて記載する。

ウシオでは、今まで、導光棒の開発、モジュールのラ インアップの充実を行ってきた。今後、取り組むべき課 題を表4にまとめておく。

表4. 課題と取り組み

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