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光技術情報誌「ライトエッジ」No.37〈特集ウシオの新しい取り組み第二回〉 2012年6月発行

シネマ/特殊映像/デジタルサイネージ・メディアファサード

プロジェクションマッピング

George Tsintzouras (CDS)、吉田 ひさよ (CDS日本支社)

プロジェクションマッピング技法がおよそ20年前から存在していたことは、あまり知られていない事実である。もともとこの技法は、スライド映写装置と照明効果のためのフィルムを使用して、建築物や外部構造物に静止画像を映写するために使われていた。マッピングはカメラオブスクラ型マニピュレ-ションによって行わなければならなかった。そのため実現が難しく、光源の明るさも十分でなかったことから、映写された画像は暗すぎることが多かった。

現在、この技法が斬新でエキサイティングなものになっているのは、技術がようやくそのニーズとアーティストのイマジネーションに追いついたからである。最新のデジタルプロジェクターには、さまざまな形状、解像度、輝度レベルがあり、あらゆる構造物に光とピクセルをかぶせることを可能にする、いくつかの非常に先進的な機能が組み合わされている。

Christie Digital Systems(以下CDS)は、TWISTやAutoSTACKといった技術の開発に貢献している。このような技術は、映写画像を不規則な形状にワープまたはブレンドすることを可能にするだけでなく、カメラを使って、それらを自動的に行なうこともできる。

今では、アーティストは、このようなデジタルプロジェクターをさまざまな創造的ツールと組み合わせて、写真、ビデオ、音声などの驚異的な効果を表現または作成することができる。その例は、影や透視法で奥行きのある三次元風の素晴らしい効果を生み出す、創造的なコンテンツとして、数多く見ることができる。

CDSのデジタルプロジェクターは全世界で使用されており、目の覚めるような素晴らしいプロジェクションマッピングを生み出している。その一例を下記のhttpでご紹介する。Christie RoadieおよびRoadsterの3チップDLPプロジェクターを81台使用して180万ルーメン以上を作り出した、世界最大級のプロジェクションマッピングプロジェクトをご覧いただきたい。

http://www.christiedigital.com/en-us/business/visual-solutions-case-studies/visual-solutions-application-stories/Pages/alfa-bank-4d.aspx

写真1. Alfa Bank 4D
2011年7月にロシアのモスクワ市で行われた世界最大級のプロジェクションマッピングイベント。Christie Roadster S+20Kを66台、Christie Roadie HD+30Kを15台の合計81台のデジタルプロジェクターを使用し、モスクワ州立大学の建物約25,500㎡に投影された。映像だけでなく、俳優が映像の映っている建物をよじ登る演出もあり、約80,000人の観衆が映像スペクタクルを楽しんだ。

写真2. Quebec City's 400th Anniversary
2008年8月にカナダのケベック市の市制400周年を記念して行なわれたプロジェクションマッピングイベント。Christie S+20Kを27台使用し、港に面する穀物サイロの壁面(幅657m×高さ33m)に映像が投影された。657mという世界最大の横幅画面の映像イベントだった。本来は2008年のみの開催だったが、市民や観光客から大好評を得、その後も毎夏開催されている。

写真3. Atlantis the Palm, Dubai
2008年11月にアラブ首長国連邦のドバイにある人工島に建設された巨大ホテル「Atlantis the Palm」のオープニングイベントで行われたプロジェクションマッピング。CDSの30,000ルーメンクラスの高輝度デジタルプロジェクター20台以上を使用して、幅220m×高さ95mの範囲に映像を投影した。

写真4. InfoComm 2011 in Orlando, FL
2011年6月にアメリカのフロリダ州オーランドで開催されたInfoComm2011のCDS展示ブース。世界的に有名なプロジェクションデザイナーBart Kuresa氏のデザインによる3Dプロジェクションマッピングが披露された。Christie Roadie HD+35Kをポートレートで使うなど、かなり実験的な試みであった。

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