USHIO

光技術情報誌「ライトエッジ」No.43(2016年04月発行)

平成27年 電気学会全国大会

(2015.03)

紫外線によるvol%台のオゾン生成とその特徴

内藤 敬祐、菱沼 宣是、 (ウシオ電機株式会社)

Generation of vol% levels Ozone by ultraviolet rays
Keisuke Naito, Nobuyuki Hishinuma, (USHIO INC.)

1.まえがき

オゾンは酸化力の強さと反応性に富み、自己分解し残留性が無いといった特徴から衛生や食品、水処理など様々な分野で利用されている。オゾン発生器は生成オゾンの高濃度化、大量生成を主眼に技術開発が行われてきた。従来1vol%を超える高濃度オゾンを得る方法は、乾燥空気または酸素発生器(PSA)で生成した酸素を無声放電により生成する方法が主である。しかし、放電による方法では副生成物として窒素酸化物が生成する。窒素酸化物を発生させないオゾン発生方法として紫外線により生成する方法があるが、従来用いられている低圧水銀灯を用いた方法ではオゾンの生成効率が悪く、その濃度も0.06vol%程度の低濃度しか生成できないとされている1)3)
そこで光源にXeエキシマランプを用い、オゾンの高濃度化の取り組みが各所で行われている3)。まだラボスケールの取り組みであり実用化には遠い。今回我々は実用化に向けてXeエキシマランプで1vol%以上の濃度のオゾンを連続的に発生させることに成功したので、その特性について報告する。

2.測定方法

図1に測定系の概略を示す。測定はオゾン発生器であるUVランプユニットの出力に測定器を直接接続して測定した。オゾン濃度計は紫外線吸光式、NOx測定にはFT-IRを使用した。

図1:測定系とUVランプユニットの概略

3.結果

図2に生成したオゾン濃度を、図3に副生成物として生成されたNOxの種類を示す。なお、比較として市販品の放電式オゾン発生器で同様の測定を行っている。
一般に放電式では生成したオゾン濃度の1/100程度のNOxが発生するとされているが2)、我々の開発したオゾン発生器ではオゾン濃度1.4vol%(30g/Nm3)に対し、NOx濃度が測定器の検出限界以下であることが確認された。

図2:オゾン濃度特性

図3:FT-IRスペクトル

4.まとめ

紫外線をオゾン発生源として用いることで大気原料から1.4%の濃度のオゾンを1 L/minの量連続生成することに成功した。生成したオゾンガスのNOx濃度は測定器の検出限界以下であり、放電式と比較し副生成物が非常に少ないことが確認された。
今後はさらに高濃度かつ大量のオゾンを生成できるよう改良していく予定である。

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