USHIO

(2016.03)
第63回応用物理学会春季学術講演会

特殊コアを有するフォトニック結晶ファイバの開発

Development of photonic crystal fibers with functioned core material

八尾 顕(近大理工・阪大レーザー研)
阪口 雄基(阪大レーザー研)
平石 隆之(ウシオ電機)
影林 由郎(ウシオ電機)
藤本 靖(阪大レーザー研)
中野 人志(近大理工)

1.はじめに

2次元面内においてフォトニックバンドギャップの実現1)が可能になったことにより、フォトニックバンドギャップを導波原理とする光ファイバの一種であるフォトニック結晶ファイバ(Photonic Crystal Fibers: 以下、PCF)の基礎が確立された。屈折率導波形と呼ばれるPCFは中心部の欠陥を囲むように複数個の空孔が配置されており、クラッド部における空孔によって実効屈折率を下げることでコアとの間における全反射により光の閉じ込めが行われる。この空孔の数や配置によって性能(零分散波長の制御など)が決まり、空孔やコアにZeolite法2)を用いて希土類元素のクラスタ化の抑制及び高濃度化を施した希土類添加ガラスを埋め込むことで新しい機能の付加が期待される。本研究ではPCFの製造、希土類添加ガラスを用いたPCFの開発を目的とし、今回は線引きによるPCFの製造について報告を行う。

2.実験方法

キャピラリ法によって製造したプリフォームを用い、図1に示す線引き装置によりPCFの線引き実験を行った。送出速度、引取速度など各線引き条件を変更し、完成したPCFの空孔の形状を評価した。現段階では、ファイバ径125µmにおいて合同な円形の空孔を持つPCFの製造を目標とし実験を行った。

図1:線引き装置構成図

3.実験結果

線引きする前のプリフォームの断面と線引きした後のPCFの断面を図2に示す。線引き過程において図2より外周の空孔から肥大していることが確認できる。この現象はプリフォームの外周を肉厚にすることによりある程度の改善ができることがわかった。ファイバ径を細くするほど空孔形の安定化は難しく、均等に空孔の大きさを制御することが今後の研究の課題になっている。

図2:PCF(左プリフォームφ21mm 右φ255µm)

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