USHIO

(2017.01)
レーザー学会学術講演会第37回年次大会

フォトニック結晶ファイバの開発

Development of photonic crystal fibers

村上 太朗A,B, 梶川 翔太A,B , 寺尾 季倫B, 八尾 顕B, 吉田 実A, 山崎 祐C, 平石 隆之C, 影林 由郎C, 藤本 靖B
(A近大理工, B 阪大レーザー研, Cウシオ電機株式会社)

1.はじめに

フォトニック結晶ファイバ(PCF)の一種である屈折率導波形PCFは全反射を導波原理としており、クラッドに設けられた空孔(三角格子状に分布)により、クラッド部の実効屈折率を下げ、コア内部に光を閉じ込めることができる。

PCFの応用として、高非線形型のPCFに超短パルスレーザーを入射すると、スーパーコンティニューム光(SC光)が発生することはよく知られている1)。SC光は白色光源として用いられる他、その広帯域性を活かして光波長分割多重通信や光コヒーレンストモグラフィにも活用されており、多分野での応用が期待されている。

本研究では、SC光源用のPCF作製を目的としており、ファイバ径125μmにおけるPCFの空孔径および空孔間隔の制御を実験の主軸とし、線引きの条件出しを行った。

2.実験方法

シリカを原料とするプリフォームをキャピラリ積層法によって作製し、Fig.1に示す線引き装置を用いてPCFの線引きを行った。プリフォームの送出速度、PCFの巻取速度、紡糸炉温度を変更し、作製したPCFの端面における空孔の形状を評価した。また、空孔を安定に制御する方法として、線引時、空孔に直接Arガス圧力をかけて空孔径の制御を行う方法(空孔加圧時)と、全キャピラリの開口部を塞いで線引きする方法(空孔封止時)を試み、各方法で得られるファイバ断面形状を比較した。

Fig.1.線引き装置概略図

3.実験結果

空孔加圧時および空孔封止時における各PCF端面をFig.2に示す。

Fig.2より、空孔加圧時において、紡糸炉内の熱影響を受けやすい外周部に空孔の潰れが確認できる。一方、空孔封止時は一部の空孔が潰れているものの、全体の空孔の大きさに均一性が見られる。

Fig2.PCF端面
(a).空孔加圧時:ファイバ径369μm、Arガス圧力5.88kPa、巻取速度30m/min、送出速度3mm/min
(b).空孔封止時:ファイバ径250μm、巻取速度18m/min、送出速度1mm/min

4.まとめ

Fig.2(a),(b)の空孔径を比較し、空孔径を均一にするには、キャピラリの開口部を塞ぐ方法が有効であることがわかる。また、Fig.2(b)に見られる一部の空孔の潰れは巻取速度を速めて加熱時間を短縮することにより、改善が可能であると考えられる。

Copyright © USHIO INC. All Rights Reserved.