USHIO

(2017.03)
日本畜産学会第122回大会
VIII29-19
 

家畜生産現場への導入に向けた体液成分分析システムの構築

岩崎渉1・渡邊英典2・中島明信2・森田金市2・鈴木信二2 ・宮崎真佐也1,3
(1産総研製 造・2ウシオ電機・3クールアース)

 

 牛群管理において体液成分のモニタリングは重要である。例えば黄体形成ホルモン(LH)は排卵前に一時的に血中濃度が数十倍に増加するため、人工授精適期を知るための指標となる。しかし体液分析は熟練した技術が必要であり、生産現場では体液分析は行われていない。そこで我々は、家畜生産現場に導入するための操作が簡単な体液成分分析システムの構築を行った。本システムはセンサ部に固定化した抗体によりLHを捕捉し、表面プラズモン共鳴(SPR)を利用してその質量変化を測定するシステムである。測定サンプルや分析試薬は全自動でセンサ部へ順番に送液するため、誰でも用いることができる。測定手順は一次抗体を固定化したセンサチップにLH標準液、0.05% Tween20を含むリン酸緩衝液(PBST)、ペルオキシダーゼ(HRP)標識二次抗体、PBSTの順で試薬を送液した。HRP標識二次抗体を送液することでセンサ部に捕捉される質量を増やし、測定信号の増幅を試みた。なお、本研究では標準物質としてヒトLHを分析対象とした。HRP標識二次抗体を用いたことにより、増幅前にはLH濃度10ng/mlの信号は得られなかったが増幅後には信号を得ることに成功した。今後は実検体を用いてウシLH等の測定を行う必要があるが、本システムを家畜生産現場へ導入できる可能性が示された。