USHIO

(2017.09)
応用物理学会(秋季)

AlN系三次元構造による紫外多波長発光LED

UV polychromatic light emitting diodes with AlN-based three dimensional  structures

京大院・工 片岡 研*,千賀 岳人 *,船戸 充,川上 充,川上 養一 (* ウシオ電機)

Univ., ○K. Kataoka,* T. Senga,* M. Funato,  and Y. Kawakami (*USHIO INC.)

E-mail: kawakami@kuee.kyoto-u.ac.jp

 

(はじめに)

 

 AlGaNを用いたDUV-LEDは近年特性の向上が進んでいる.一方で従来用いられている多波長性の水銀ランプと単色性のLEDでは光源特性が異なるため、単純な置き換えが難しい用途もある.例えば樹脂硬化では水銀ランプの複数の輝線により表面と内部の同時硬化を行っており,多波長発光LEDの実現が有効である可視光領域では,ファセット結晶面に依存した井戸幅や組成変化を用いたGaN系3D構造による多波長LEDが報告されている.一方我々は,バンチトステップによる局所的な発光の長波長化を用いた,AlNストライプ3D構造上AlGaN量子井戸からの深紫外多波長CL発光を報告した[1].今回実用上重要なLED構造からの,深紫外多波長発光をAlN系3D構造により実現したので報告する.

 

(実験)

 

 試料は有機金属気相成長法(MOVPE)により,C面サファイア基板上に作製した.まず,AlNテンプレートを成長後,フォトリソグラフィーと反応性イオンエッチング(RIE)によりAlNのa軸に沿ったトレンチ構造を形成した.その後,MOVPE装置に戻してLED構造を作製した.初めにAlN600nmを再成長した後,n-AlGaN/AlGaN量子井戸/p-AlGaN/p-GaNの順で3DLED構造を成長した.本条件で平坦なc面にLEDを作製した場合, 250nm のシングルピーク発光を示す.成長後一般的な LED プロセスにより,p電極,n電極としてそれぞれ Ni/Au, Ti/Al を形成しデバイス化した.
 

(結果および考察)

 

図1に作製した3DLEDの室温,DC駆動時のELスペクトルを示す.250nm帯と270nm帯ピークを重ねあわせたスペクトルとなっており,電流注入による多波長発光が得られた.本発光特性を考察するため,LEDと同条件で発光層まで成長したサンプルを作製し,室温CL評価を行った(図 2(a)-(e)).図2(b)-(e)の各種SEM,CL像は,スケール・場所の関係が一致するように配列されている.(a)のEL/CLスペクトル比較から両者のピーク波長は一致し,その起源は(b)-(e)の比較から250nm帯がc面全体から,270nm帯が溝端部のバンチトステップからの発光であり,[1]同様バンチトステップを利用した多波長化であることが確認された.発表では,AlN3D構造上のAlGaN成長機構など,より詳細な議論を行う.



(参考文献)
[1] K. Kataoka, M. Funato, Y. Kawakami, APEX 10, 031001 (2017).