第79回応用物理学会秋季学術講演会 講演予稿集

(2018 名古屋国際会議場 (愛知県名古屋市))


GdF₃ 薄膜を用いた真空紫外光検出器の開発
Vacuum Ultraviolet Photoconductive Detector Based on GdF3 Thin Film

 

名工大1,ウシオ電機2
○(M1)大谷 潤1, (M2)鈴木 健太郎1, (B)加藤 誠也1, 小野 晋吾1, 加瀬 征彦2
Nagoya Institute of Technology 1, USHIO INC.2
○Jun Otani1, Kentaro Suzuki1, Seiya Kato1, Shingo Ono1, Masahiko Kase2
E-mail: jun.otani.onolab@gmail.com

 

    真空紫外光源は洗浄・殺菌・表面改質など様々な用途に使用されている.これに伴い,この真空紫外光源のモニタリング用光検出器への要求が高まっている.そこで我々は,検出器材料としてワイドギャップ材料であるフッ化物を用いた光検出器の開発を進めてきた[1].光伝導型検出器はバンドギャップを超えるエネルギーを持つ光子のみを吸収するため,フッ化物材料を利用することにより,真空紫外光を選択的に検出する光検出器開発が可能になる.本研究では,GdF3 に着目し,パルスレーザー堆積法を用いた薄膜化とその光伝導特性評価を行ったので,これについて報告する.
 パルスレーザー堆積法によりGdF3薄膜をSiO2基板上に堆積させた.成膜は,真空中にてNd:YAGレーザーの第4 高調波(波長:266 nm, パルス幅: 5 ns, 繰り返し周波数: 10 Hz)により行った.さらに,堆積した薄膜上に真空蒸着法を用いてアルミニウム櫛形電極を形成することにより光伝導型検出器を作製した.
 光検出器の光伝導特性を,真空紫外光照射時の電流(光電流)と非照射時の電流(暗電流)を測定することにより評価した(Fig.1).電極間に100 V 印加時の暗電流は1.2pA 程度,光電流は160 pAとなり,真空紫外光照射により電流値の2 桁増加を確認した.さらに,波長応答特性を評価した.(Fig.2).薄膜の透過端は120 nm となり,検出器の応答領域は波長144 nm 以下であることを確認した.この結果より,GdF3 薄膜を用いたフィルタレス真空紫外光検出器の開発を実現した.
 


 
   [1] T. Ishimaru, et al., Thin Solid Films, 534, (2013) 12.

 
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