第41回日本光医学・光生物学会(2019年7月19・20日)


紫外線照射によるラット角膜内CPDの経時的変化 

 

○海津 幸子(かいづ さちこ)1,杉原 一暢(すぎはら かずのぶ)1,佐々木 正裕(ささき まさひろ)2
西明 愛子(にしあき あいこ)2,五十嵐 龍志(いがらし たつし)2,谷戸 正樹(たにと まさき)
 

※筆頭演者○印

1:島根大医学部眼科 2:ウシオ電機 

 

 

【背景と目的】

 波長222nmのUVCは透過性が低い(<1μm)ため、ヒト細胞の核まで到達せず、皮膚では死んだ細胞から構成される角質に吸収され、角化細胞のDNAにダメージを与えないと考えられている。我々は前回の第40回日本光医学・光生物学会において、波長222nmと254nm UVCをラットの眼に照射すると254nm UVCは角膜に障害を引き起こすが、222 nm UVCは角膜と網膜に短期的には障害を起こさないことを報告した。
 今回は、222 nmよりも短い波長でも角膜障害は起きないのか、また、角膜障害が発生し始める波長について更に検討を行った。 

 

【方法】

 アルビノラット(Sprague-Dawley系、雄、6週齢)の角膜に麻酔下でUVCをエネルギー量が30 ~ 600 mJ/cm2となるように207nmおよび235 nmのUVCを照射した。照射24時間後に角膜表面に投影された光の環(マイヤーリング)の歪みを観察した。更に、角膜をフルオレセインで染色して角膜障害を観察し、その後眼球を摘出した。摘出した眼球よりパラフィン切片を作成し、HE染色を行って構造変化を観察し、222nmおよび254nmの結果と比較した。

 

【結果】

 207nm UVCを照射した角膜では222nm と同様に角膜に障害は観察されなかった。一方、235nm UVCを照射した角膜ではマイヤーリングの歪みと点状の表層角膜炎が観察された。しかしながら、254 nm UVCを照射した角膜では面上の角膜びらんが観察されたのに対し、235nm UVCでは600 mJ/cm2のエネルギー量でも角膜びらんは観察されず、障害は比較的軽度であった。 

 

【結論】

 照射後24時間の短時間の観察では、222 nm より短い波長のUVCはラットの角膜に障害を起こさないこと、また、ラットの角膜に障害が生じ始める波長は222nmと235nmの間にある可能性が示唆された。 


 


 
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