光線力学治療

photodynamic therapy こうせんりきがくちりょう

解説

光線力学治療とは、生体内の病巣組織に親和性のある光増感性物質を投与した後、可視光線を照射し、組織内で生成した活性酸素種を用いて、病巣組織のみを選択的に破壊する治療法のこと。PDT(Photodynamic Therapy)とも言う。

※近年、光線力学治療は日光角化症やBowen病、Paget病などの腫瘍性病変や、重度の尋常性ざ瘡や脂線増殖症、難治性疣贅に用いられており、病院だけでなく、クリニックにも普及している。

表在性の皮膚疾患には波長400nm付近の青色光が、深部の皮膚疾患には波長600nm付近の赤色光が有効であることから、光線力学治療用の光源装置には、主に赤色光を照射するレーザ光源が用いられている。具体的にはArダイレーザ、XeClエキシマレーザを励起光とした波長630nmの色素レーザ、パルス波エキシマダイレーザ、波長可変YAG‐OPOレーザ(現在販売中止)、半導体レーザなどであり、これらのうち、XeClエキシマレーザを励起光とした波長630nmの色素レーザ、波長可変YAG‐OPOレーザ、半導体レーザが厚生労働省の認可を受けている。

一方、皮膚科分野では、広範囲な病巣部の治療が必要なため、照射面積が小さいレーザ光源では光照射に時間がかり、さらにレーザ光源装置は管理者や特別な施設を必要とすること、大規模であること、メンテナンスが難しいことなどから、大学病院などではレーザ光源装置が、クリニックなどではランプ光源装置が主流である。
現在、光線力学治療用として、厚生労働省の認可を受けているランプ光源装置はないが、欧州では、ハロゲンランプキセノンランプ、照明用メタルハライドランプ蛍光ランプLEDなどを内蔵した光源装置が上市されている。日本では、光線力学治療に必要な600~800nmのを効率よく放射するメタルハライドランプが開発され、これを内蔵した赤外線治療器が薬事認可され、光線力学治療に用いられている。

「薬事認可を受けた赤外線治療器」