光技術情報誌「ライトエッジ」No.1(1995年冬発行)
照明学会全国大会講演予稿集
(1994年7月)
26. 誘電体バリア放電を利用した
Xe2*エキシマランプの光出力特性
Radiation Characteristics of Xe2* Exicimer lamp
with Dielectric Barrier Dischages
竹元史敏 松野博光 五十嵐龍志 平本立躬 大西安夫 菱沼宣是
ウシオ電機株式会社
F. Takemoto H. Matsuno T. Igarashi T. Hiramoto Y. Ohnishi N. Hishinuma
1.緒言
真空紫外領域の光源として誘電体バリア放電を利用したXe2*エキシマランプが知られている1)2)。このランプは、172nm付近のキセノンエキシマ光を放射するが、その絶対値は、172nmにおけるオゾンの生成効率などを使用して測定されている3)。われわれは、同軸円筒型の誘電体バリア放電Xe2*エキシマランプの光出力の絶対値をバンドパスフィルタとサーモパイルの組み合わせで測定した。
2.実験方法
実験に使用した誘電体バリア放電Xe2*エキシマランプの概略を図1に示す2)。エキシマ光の全放射束の絶対値は、供試ランプの配光分布の測定と、バンドパスフィルタとサーモパイルの組み合わせによる放射照度の測定から求めた。また、別の方法として、ランプ外表面に、172nmのエキシマ光が透過しないように酸化チタンの層を設け、酸化チタン層の有無による光出力の差をサーモパイルを用いて測定し、172nmのエキシマ光の光出力を見積もった。上記の測定は、すべて窒素雰囲気中で行った。
3.実験結果
上記二つの測定方法によるランプ入力電力に対するエキシマ光の全放射束の絶対値、いわゆる効率を比較すると、約20%の誤差で一致した。
ランプ入力電力が約20W、電界強度をキセノンの圧力で除した値が50V/cm/kPa時の誘電体バリア放電Xe2*エキシマランプの配光分布を図2に示す。完全拡散放射源からずれた配光分布となった。その時のエキシマの光の全放射束を見積もると約2Wであり、効率約10%が得られた。
4.結言
同軸円筒型の誘電体バリア放電Xe2*エキシマランプにおいて、ランプ入力電力約20Wで、エキシマ光の全放射束は約2W、効率約10%が得られた。