USHIO

光技術情報誌「ライトエッジ」No.1(1995年冬発行)

第55回 応用物理学会学術講演会講演予稿集No.2

(1994年秋季)

21p-ZM-9
172nm誘電体バリア放電ランプによる
SiO2膜の室温形成
Fabrication of SiO2 Film at Room Temperature by 172nm VUV Lamp

東海大(工)、ウシオ電機(株) º鈴木剛臣、津田裕、大川真昭、五十嵐龍志* 、村原正隆
Tokai Univ.,USHIO INC. ºT.Suzuki, Y.Tsuda, M.Okawa, T.Igarashi, and M.Murahara

はじめに

熱酸化シリコン膜を室温で形成する目的で、我々はArFレーザー光によって励起されたNF3とO2ガスを、この系中に存在するSiウエハと化学反応させて、Siウエハ上に連続的にSiO2膜を形成させてきた[1][2][3]。このNF3ガスの強い吸収帯はArFレーザー波長193nmよりも短波長側に存在する為、その励起光源として、172nmに発行する誘電体バリア放電Xeランプを採用した。このランプによる光分解によって、中間生成物であるSiF4やNO2を効果的に生成させSiO2膜を効率よく析出させることが出来たので報告する。

実験方法および結果

Fig.1に示すようにSi基板の置かれたチャンバー内にNF3とN2Oの混合ガスを封入する。そこへ172nm誘電体バリア放電Xeランプ光を照射すると、FとNO2が生成する。このFが、Si基板をエッチングしてSiFn(n=1~4)を生成し、エッチングされたばかりのSi基板上に吸着する。このSiFnが雰囲気ガス中のNO2と酸化反応を起こしてSiO2膜の第一層を形成する。そして再びガス中に存在するSiFnが、形成したばかりのSiO2膜上に吸着し、これとNO2が反応する事によって、新たにSiO2膜が堆積する。この反応は、ガス中のSiFnが無くなるまで進み、ディジタル的に1層ずつSiO2膜が形成されていく。この実験で得られたSiO2の膜厚は、ランプ光15分間照射で800Åであった。

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