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光技術情報誌「ライトエッジ」No.18(2000年3月発行)

ガラス微小キズ検査光源装置の標準化

ガラス微小キズ検査光源装置の標準化

(株)ウシオスペックス
吉田 祐光

「用途に応じてコンポーネントする」ことをコンセプトにして、小型ショートアークランプ専用の「OPTICAL MODULEX」を商品化し、約2年が経過しました。この間、大学や官公庁の研究機関のみならず、多くの企業のラインからも、さまざまな要望が出され、メーカーとして積極的に対応した結果、大変好評を頂き、出荷高の半数はユーザーの要望に応じた、光の射出方法の変更に伴う、改造仕様でオーダーを頂きました。

その中から、複数の研究部門から要請のあった、ガラス(プラスチックやフィルム等の透明体を含む)の微小キズ検査光源装置を標準化する運びとなりました。

ここではその内容について説明します。

1 商品化の意図

従来各種ガラスのキズ、脈理、気泡の検査に超高圧水銀ランプが使用され、(一部クセノンランプも使用されています)危険な状態の灯具を、自分で作られたり、また、理化学用の灯具を転用されたり、また、独自に改良されたりして、使われていました。

これを、ユーザーが安全に、かつ使いやすいものを供給する目的で、商品化しました。

現在自動化も考えられていますが、目視検査方式がまだ続くと考えられています。すでに広く知られた内容ですが、光源メーカーが商品化していませんでした。

2 キズの検査方法

①透過投影方式(スクリーン側から直接見る場合もある)

建築用や自動車ガラス、眼鏡、コンタクトレンズ、各種フィルム等の透過体を光束が通過するとき、キズがあるとその部分の透過率が落ちるため、スクリーンに黒く写ります。比較的大きな200µm以上のレベルのキズを調べます。

②反射直視方式(反射をスクリーンに当てる場合もある)

事務機器用のガラスや、半導体マスク、各種フィルター等の浅いスリキズ等を見るのに適しています。キズがあるとその部分が乱反射を起こすため、欠陥ががわかります。

③エッジライト方式

TFTやPDPガラスの微妙な表面のキズを見ます。光が検査体の中を通過するとき、キズの部分で乱反射を起こすため、その部分が輝いて見えます。

アマチュアでも20µmレベルの打根が見えます。検査のプロなら、それ以下の微小キズを、短時間で発見できます。

3 商品の特徴

①目的外の光束のカット

一般照明分野では、当社が創業以来言い続けてすでに常識化されていますか、人間の目は大変ファジーなもので、毎日の生活空間の照度が次第におちても気が付きません。

しかし、明暗の対比には大変敏感です。よって、不必要な所への光の広がりをカットしてあげることで、目的部分のみを注視することが可能となります。ユーザーから必要照射面積を聞いて対応します。不必要な光量のカットのため射出径を変更できることが必要です。

②高輝度点光源ランプの採用

現在蛍光灯で検査をを行っている所も多々ありますが、発行面積が大きいと、反射が一定にならず、見えにくくなることもあり、又、光学系の利用もしにくいので、点光源のランプを採用することが良いと考えます。

③チリとキズの分離

質の高いクリーンルームを持っている実験室、検査室は、現在でもあまり多くありません。

検査中でも、次々と被検体に小さなチリがかかります。スリット機構でガラス厚に合わせた光束をエッジから導入し、表面を通る光を完全にカットすることで、表面のチリ(パーティクル)は全く見えずキズのみが見えることになります。

④安全性の確保と使い易さ

オプティカルモデュレックスの持つ、芯出し不要ランプ、インターロック、スタータ内蔵式コネクタ接続等はそのままにし、今までの検査担当者がUV光を浴びながら行う等の危険をなくす為、UVカットフィルターを標準装備としました。又、エッジライトは投影式にも反射式にも使えるようにしました。

以上のことは、すでに広く知られた知識ですが、商品化となると、なかなか具体化しないものです。今後さらに改良を加え、さらに使い易く、自動化対応等にも備えて参りたいと思います。

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