USHIO

光技術情報誌「ライトエッジ」No.20(2000年12月発行)

月刊ディスプレイ

(2000年8月)

モバイルから
大型プロジェクタに対応する
ウシオの光源

ウシオ電機(株)

1. はじめに

当社はスライドプロジェクタやOHPに使用されるハロゲンランプから液晶プロジェクタ用のメタルハライドランプ・超高圧水銀ランプ,更には大型デジタルプロジェクタや劇場用フィルム映写機に使用されるキセノンランプなど多種多様の映像用光源を製造販売しているメーカーである。今回は上記の超高圧水銀ランプ(NSH)とデジタルプロジェクタ用のキセノンランプ(PXL)について紹介する。

2. 超高圧水銀ランプ(NSH)

NSH は石英ガラスのバルブ部とタングステン棒の電極で構成されている外観はこれまでのプロジェクタ用メタルハライドランプと同様だが,封入金属が水銀のみで,その内圧が点灯時で100気圧以上という点に特長がある。水銀ランプをある一定以上の内圧で点灯させると可視光域の光が多くなり,プロジェクタ用光源としては理想的なものになることは以前より文献等で発表され,一部商品化もされていた。

当社は本ランプをDC 点灯方式にし,スクリーン上でのチラツキの原因となるランプのフリッカを防ぐとともに,将来のウルトラモバイル化に備えてバラストの小型軽量化ができることを特長としてシリーズ化を進めてきた。現在,130W から250W までを揃えており,バラストもプロジェクタメーカーの要求に応えるべく,多種多様のシリーズ化で対応している。(表1

当社製品のもつ一つの特長として,ランプの調光機能が挙げられる。図1に示すとおり,明るさと寿命にとって不可欠なバルブの各部の最適温度を維持するためにリフレクタ下部より空気を流し込む構造を採用している。この方式では電流調整でランプの入力を調整するが,冷却ファンの回転数を連動させることで常に最適条が維持できるメリットがある。

プロジェクタも年々明るくなっているが,使用場所や状況によって明るさの調整やファンの音を抑えて使用することが求められるため,最適な明るさに調整できる機能はプロジェクタの商品価値を高めるものとして受け入れられつつある。

表1 NSHのシリーズ化

図1 クーリングリフレクタと風の流れ

3. キセノンランプユニット(PXL)

Large Venue 用のプロジェクタとして普及しているDLP やD-ILA などの素子を使ったデジタルプロジェクタ用光源にはキセノンランプが使われている。キセノンランプは以前より劇場用フィルム映写機に使われてきたが,当社ではDLP などの新しい素子に合わせて極間を短くし,図2に示すように2つのリフレクタを組合せた“デュアルミラー構造”を採用し,通常の同ワットのランプと比べて約30%の照度アップを図ることに成功した。キセノンランプは最も太陽光線に近い分光特性(図3)を持つランプと言われ,RGBのバランスが取れていることとハイパワー化が可能という特長があり,大型画面用光源としては理想の光源である。当社では現在プロジェクタ用としては1kW から3kWまでのシリーズ化を完了しているが,今後はニーズに合った多品種化と長寿命をテーマと考えている。

図2 デュアルミラー構造の概念図

図3 キセノンランプの分光特性

4. 今後の展開

データプロジェクタからホームユースのビデオプロジェクタやリアプロジェクタなどと用途が広がるにつれ,ランプには明るさのみならず,長寿命や高演色性などの新たな性能が求められるようになり,品質も一桁以上の信頼性の向上が要求されてきている。

デバイスの変化や周辺技術の革新に伴い,従来の点灯方式とは異なる方式への移行や材料・生産技術の改善などでプロジェクタ用ランプ,及びバラストの技術も目覚ましい進歩を見せ始めつつあり,ここ2,3 年の内に大きくその姿を変えようとしている。これからも当社の新たな提案に期待していただきたい。

【製品掲載ホームページ】

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