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光技術情報誌「ライトエッジ」No.23/特集 ウシオの露光装置(2001年11月発行)

あとがき

「光」は太古の昔から人と深くかかわっている。人が地上で最初に遭遇した「光」は明るさをもたらし、熱をもたらす太陽であったろう。この太陽光の恩恵を受けながら、人はやがて火を手に入れ、「光」をコントロールする方法を考え出し、文明をつくりだした。そして電球がエジソンによって発明されて以来、近代の生活様式をも大きく進展させてきた。しかし「光」は不思議に満ちていて、その特性が解き明かされるにつれ、民生や産業など幅広い領域で利用応用されるようになり、コントロールする方法も確立されるようになった。現在では、光源とともに「光」のコントロールは、人間社会に欠くことのできない技術となっている。

さまざまな光源を作り出す技術は、ウシオの基幹技術である。そしてもう一つ見逃せないのが、光源の発する光を求められる場所に導いていく、あるいは使いやすいかたちに変える技術である。その代表が「露光」に関する技術といえる。露光技術の発端は、1826年、フランスで行われたピンホール写真といわれている。当時の露光用光源はもちろん太陽である。しかも8時間をかけての焼き付けだったという。やがてこの「露光」は青焼きコピーや基板製造、IC製造へと、先端技術分野を中心に活躍フィールドを広げていく。そして今やエレクトロニクスやIT産業に見られるように、社会を支える中核的技術に成長している。

現在の「露光」に関する技術は、確かに欠くことのできない重要なプロセス技術の一つに間違いない。しかし、それ自体が華々しく一人歩きするものではなく、そのために、さほど知られていないのが実状といえる。そこで本号は、「ウシオの露光装置」と題し、露光装置の技術、役割、将来展望を特集し、技術資料として役立つようまとめた。

まず第二章で、露光装置はどのようなフィールドで使われているのか、TABとはどのようなものかを知っていただきたい。第三章では露光方式や各種の露光装置の特徴について述べてある。第四章は露光装置の技術に関してポイントを解説した。そして第五章では、光源から露光装置まで、ウシオが歩んできた道のりをつづった。そして露光装置の注目すべき分野であるナノテクノロジーについて、寄稿いただいたものを第六章として掲載させていただいた。

これらは社外から産・学の方々を始め、弊社、グループ会社、OBに至るまで、中心的な方々に幅広く執筆いただいた。皆さま多忙な方々ばかりで、その中でのご協力に、あらためて感謝申し上げたい。

本号は、「光」を利用した研究・開発を行ううえで、十分参考いただけるものであり、また直接「露光」技術を利用していなくても、何らかのヒントとなる内容である。「光源」と「露光」の両技術に精通したウシオだからまとめることができたと自負している。

こんなものが欲しい。あんなことはできないか?「光」のことだから、まずウシオに相談してみよう。

読者の皆さまが研究・開発を進めていく中で、そう思っていただけたら、この上ない幸せである。

志賀 浩之

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