USHIO

光技術情報誌「ライトエッジ」No.26(2003年8月発行)

平成14年度 照明学会 全国大会

(2002年8月)

希ガス蛍光ランプのエネルギーバランスの見積もり

―内外部電極型希ガス蛍光ランプの開発―
溝尻貴文 園田良太 岡本哲 吉岡正樹
ウシオ電機株式会社

1. はじめに

現在、OA機器の読取り用光源として希ガス蛍光ランプが使用されているが、高照度化にともないランプからの発熱が問題となり、効率改善が求められている。今回、発光管の外面と内面に一対の電極をもった内外部電極型希ガス蛍光ランプの検討を行い、当該ランプの効率を算出するために、エネルギーバランスの見積もりを行ったので報告する。

2. 内外部電極型希ガス蛍光ランプ

図1に今回検討した内外部電極型希ガス蛍光ランプを示す。発光管の外表面に外部電極を印刷して、内表面には内部電極を独自の方法で設けた。内部電極への給電はガラス端面を利用し、内部電極と発光管外表面の給電部を連通させたあと、フタ部材で封着した。これ以外の製法、構造はこれまで報告されているXe希ガス蛍光ランプと同様である。

図1 内外部電極型希ガス蛍光ランプ断面図

3. エネルギーバランスの考え方

希ガス蛍光ランプの点灯駆動には高周波高電圧のインバータを使用した。そこでランプに入力された電力WLのゆくえ、いわゆるエネルギーバランスを考察した結果を図2に示す。これを数式にしたものが(1)式である。

W inはインバータ入力電力、W invはインバータ損失の電力を表す。これらの電力算出はV-Qリサージュ図形により求めた。W outは光源として利用する可視光の出力であり、全光束Φ、ルーメン当量LEを測定し、算出する。Q rad+Q convは発光管損失や放電損失、蛍光体損失にともなう伝熱量であり、ここでQ radは表面から放射される伝熱量、Q convは対流による伝熱量である。Q radはランプ管壁温度の実測により算出し、Q convは水平におかれた円柱の自然対流を仮定して見積もった。

図2 電力のゆくえ

4. 結果

外径Φ8mm、三波長混合タイプの蛍光体を用いた内外部電極型希ガス蛍光ランプにおいて、フライバックインバータで点灯させた時のエネルギーバランスの見積もり概算を行った。その結果W in が16.8Wの時、W Lが11.7W、W outが0.6W(全光束180lm、ルーメン当量280lm/W)、Q radが5.5W、Q convが8.4Wであった。この見積もりから、利用している可視光の出力はランプ入力WLの約5%程度であることがわかった。また見積もりの精度を上げるために、電力の測定方法、伝熱量の見積もり方法等を改善することが今後の課題である。

一方、発光管外部に一対の電極を設けた従来型ランプとの比較を行った結果、照度において内外部電極型の優位性は10%程度であった。

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