USHIO

光技術情報誌「ライトエッジ」No.26(2003年8月発行)

第13回 光線力学学会

(2003年3月)

PDT用メタルハライドランプの開発

木村誠1,2・古曽部俊之1・東忠利2・平本立躬2・徳岡由一3・川島徳道1,3
桐蔭横浜大学工1・ウシオ電機株式会社2・桐蔭横浜大学先端医用工学センター3

【目的】近年、光線力学的治療(PDT)を行う際、治療面積を確保するため、キセノン放電ランプやハロゲンランプの利用が試みられている。これらのランプの600~800nmにおける光の放射強度は全放射強度の数%であり、十分な治療効果を得るためには、長時間の光照射、ランプの高電力化が不可欠である。しかし、その結果、患者に熱感を与える、装置が大型でコストが高いなどの問題が生じている。このような問題点を解決するため、光増感剤の吸収ピークに相当する波長に高い放射強度を有するランプの開発が必要である。そこで本研究では、PDTに適切な放射スペクトルと強度を有するメタルハライドランプを開発し、そのPDT効果について検討した。

【方法】種々の金属ハロゲン化物を封入したメタルハライドランプ(Na、Li、K、RbおよびNa-Liランプ)を作製し、放射スペクトルを測定した。さらに、これらのランプと、キセノン放電ランプおよびハロゲンランプ(いずれも150W)との照射スペクトルを比較した。また、in vitroにおけるEL-4に対するPDT効果の確認を行った。

【結果】各メタルハライドランプの放射スペクトルと各光増感剤の吸収スペクトルとを比較したところ、NaランプはPhotophrin、LiランプはPheophorbide、Npe6およびATX-S10、Na-Liランプは5-ALA(PpIX)に有効であることが分かった。また、キセノン放電ランプ、ハロゲンランプおよびNa-Liランプを用いて、635±15nmの放射強度を求めたところ、それぞれ1.9、2.2および6.4Wであり、Na-Liランプはキセノン放電ランプおよびハロゲンランプよりも約3倍高い放射強度を持つことが明らかとなった。さらに、光増感剤として5-ALAを用いてPDT効果を検討したところ、Na-Liランプが最も有効である事が分かった。

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