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光技術情報誌「ライトエッジ」No.34(2011年3月発行)

電子ジャーナル10月号(電子ジャーナル)

(2010年10月)

ロールtoロール露光装置 最新動向

宮川展明

1. はじめに

ロール toロール露光方式による製造方法は、従来は拡散光を使用したコンタクト露光装置が主流であったが、配線ルールが100µmピッチから40µmピッチへと高密度化するにつれて、マスクやワークに付着するパーティクルが原因のパターン欠損による歩留り悪化が問題となり、平行光プロキシミティ露光装置が採用されるようになってきた。

また40µmピッチ以下のLCD向けファイン製品に牽引されてきたTAB/COF業界では、平行光プロキシミティ露光装置よりもパーティクル対策としてより有効となる投影露光装置が採用されている。

近年、ロールtoロール露光方式による製造方法はさまざまなフレキシブルデバイスの低コスト化および高密度化を実現する製造方法の一つとして重要な位置を占めている。そこで露光装置への要求である“解像力”、“重合せ”、“高スループット化”の課題に対し、年々改善を積み重ねている。

当社は、お客様のニーズに合わせ、以下3商品をラインナップしている。

  • ① 高スループット化ニーズに対し大面積一括投影露光装置「UFX-2882BX」
  • ② より高解像力ニーズに対しファインピッチ一括投影露光装置「UFX-2477BX」
  • ③ 汎用ニーズに対しプロキシミティ露光装置「UFX-3500」

2. 大面積一括露光装置「UFX-2882BX」

特に高スループット化に重点を置かれた装置コンセプトにてUFX2882シリーズを開発した。テープ幅最大250mm対応の高解像度ロールtoロール露光装置であり、投影レンズを介してマスクパターンをワーク面に転写し露光する。

特に従来のプロキシミティ露光装置と同等の露光面積および投影露光のメリットであるマスク洗浄レスによりプロキシミティ露光装置と比較し歩留り向上および生産性向上を達成する。また重合せについてはワーク搬送方式にノーテンション搬送を採用することにより基板伸縮を極力抑え、またシステム全体として高精度の位置決め性能達成に取り組んでいる。

特長は以下の通りである。

  • ① 高解像度i 線単色投影レンズを搭載。従来機の露光面積Φ200mmまでに対し、Φ355mmまで一括露光可能。
  • ② 投影露光方式である為、マスクとワークに付着するパーティクルが原因によるパターン欠損による歩留り悪化を抑えている。
  • ③ マスクをワークが非接触の為にマスクメンテナンスが不要である。プロキシミティ露光方式は数百ショット毎にマスク洗浄を行う必要があるが、投影露光方式では全く無い。装置自動化による生産性向上および無人化により作業人員削減を実現している。
  • ④ ワーク起因による段差に対して深い焦点深度にてパターニングが可能である。プロキミティ露光方式では、ワーク起因によるギャップバラツキが解像度に大幅に影響を及ぼしてしまう。
  • ⑤ 8kW高照度ショートアークランプと高効率インテグレータレンズの採用により、高照度化を実現している。
  • ⑥ 重合せや狭ピッチ化に伴う累積ピッチ精度の要求が厳しい場合にも、投影レンズの低歪み化に加え、システム全体でテープへの歪み対策も盛り込むことも可能である。

3. ファインピッチ対応投影露光装置「UFX-2477BX」

ファインCOF(25µmピッチ以下)量産をターゲットとしたテープ幅最大160mm対応の高解像度ロールtoロール露光装置である。前述したUFX-2882と比較し、より高解像度なパターニングが可能である。

  • ① 高解像度i 線単色投影レンズを搭載。露光面積は従来機の投影露光機□141mm(Φ200mm)を満たし、より高解像度(4µm L/S(ポジ液レジスト1µm 厚にて))を実現している。
  • ② 投影露光方式である為、マスクとワークに付着するパーティクルが原因によるパターン欠損による歩留り悪化を抑えている。
  • ③ マスクをワークが非接触の為にマスクメンテナンスが不要である。プロキシミティ露光方式は数百ショット毎にマスク洗浄を行う必要があるが、投影露光方式では全く無い。装置自動化による生産性向上および無人化により作業人員削減を実現している。
  • ④ ワーク起因による段差に対して深い焦点深度にてパターニングが可能である。プロキミティ露光方式では、ワーク起因によるギャップバラツキが解像度に大幅に影響を及ぼしてしまう。
  • ⑤ 4.3kW高照度ショートアークランプと高効率インテグレータレンズの採用により、高照度化を実現している。
  • ⑥ 重合せや狭ピッチ化に伴う累積ピッチ精度の要求が厳しい場合にも、投影レンズの低歪み化に加え、システム全体でテープへの歪み対策も盛り込むことも可能である。

4. プロキシミティ露光装置「UFX-3500」

UFX-3500シリーズはテープ幅最大300mm対応のロール to ロールプロキシミティ露光装置でありファインピッチ向けに特化している装置である。ガラスマスクとワークの平行出しおよび任意のギャップ設定を非接触にて自動で行う。露光エリアは最大300×500mm 。ワーク搬送には縦グリップフィード方式を採用し、高速搬送と小フットプリントを実現した。特長は以下の通りである。

  • ① プロキシミティギャップ量を面内4点でレーザー変位計により測定することで、安定したギャップ量を保持。高解像度で安定した画内寸法のパターニングを実現。
  • ② 配線ルールや多様な感光材に合わせ、様々なオプション光学系、フィルタにより、ユーザープロセス最適な照度、波長、視角を選択することができる。
  • ③ ユーザーニーズに合わせて表面アライメント、裏面アライメントの選択が可能。またアライメントマークをスルーホールではなく、実パターンにすることも可能。

5. おわりに

当社はこれまでに投影露光装置とプロキシミティ露光装置を市場に供給し、生産歩留り向上に貢献してきた。今後もさらなる生産歩留り向上を図るとともに、多様なアプリケーションの採用が広がる市場のニーズを先取りした装置の提案を進めていく。

表1 ロールtoロール露光装置仕様比較

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