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光技術情報誌「ライトエッジ」No.43(2016年04月発行)

オプトロニクス社 レーザー照明・レーザーディスプレイ最新動向調査報告書 完成版

(2015.04)

3Dプロジェクターへの展開

畑中 秀和

LDをプロジェクター光源に使えることで、3D画像方式の中で、6P3D(6 Primary 3D)方式(1)が注目されている(図1)。Infitec社などのベンチャー企業が基本技術を確立、Dolby社などが普及に努めた方式である。6P3D方式は、左右の眼それぞれにRGB3原色、すなわち両目合わせると6原色を使って3D映像を表現する。2013年1月にレーザー学会年次大会会場である姫路商工会議所の一室で世界初のLDを光源とした6P3DのパブリックデモンストレーションがNECSEL社とウシオ電機によって実施された(2-3)。その2年後、2014年11月、Christie Digital Systems 社は米国シアトルのCinerama theaterに(4)、同年12月、Barco社は欧州にてKinepolisグループに(5)、納めたレーザープロジェクターが常設興行を開始した。この方式は左右のグラスの原色の波長間隔を適切にとることでクロストークの少ない3Dメガネをつくることができるので高画質な3Dとして期待されている。従来光源であるキセノンランプ光では、白色光から2組のRGB光を取り出す過程の効率が低いために、明るいスクリーンの実現が困難であったが、LDは既に単色度の高い光源なので、最初から波長の間隔を適切に選択した2組のRGBのLDをつかえばよく、このデメリットはなくなる。6P3D方式ではRGB3原色に対してそれぞれ短波長と長波長が必要になるが、青色と赤色は既に数ワットクラスのレーザー光がLDから直接得られる。これに対して緑色は、短波長を530nm帯にとると、長波長は550nm帯のLDが必要となる。このような長波長緑のGaN系LDの高出力化とその実用化には時間がかかると考えられ、GaAs系赤外LDをベースに波長変換によって緑域において任意の波長を発生できるNECSELTMなどのSHGレーザーが使われる。

図1: 6P3D式LDプロジェクターの原理

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