光配向装置
解説
光配向装置とは、ガラス基板などに塗布された配光膜に直線偏光の紫外線を照射し、異方性を持たせて、液晶分子を所定の方向に並べる装置のこと。
主に液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display、LCD)の液晶配向プロセスで使用されるが、従来のラビング(Rubbing)法とは異なり、光(紫外線)を用いることから、非接触でクリーンな環境で配向制御を行うことができる。この他にフォトリソグラフィ(photo lithography)法もあるが、バックライトの透過率低下等の問題点がある。
光源には、ショートアークの超高圧水銀ランプやロングアークの高圧水銀ランプ、メタルハライドランプが用いられる。
※ラビング法は、ナイロン布などを巻いたローラーで配向膜を一定方向に擦り、液晶分子の方向を整える方法である。配向膜を擦るという簡便性に加え、液晶分子の配向状態も良好なことから、多くの配向プロセスで採用されているが、微細な粉塵や静電気が生じるために、歩留まりや稼働率の低下を招く要因となっている。また、Mobile端末用ディスプレイは画素や配線が微細化し、構造が複雑化しており、ローラーでは擦り難くなってきている。
フォトリソグラフィ法は、液晶分子の方向を揃えるための構造物を、フォトリソグラフィを用いて形成する方法である。この方法では、形成された構造物自体が赤外線LEDバックライトの透過率を低下させることや、液晶分子の並びに乱れが生じる恐れがあること、反応速度が遅いことなどが課題となっている。
※光配向法は、ラビング法と比べ、次のようなメリットがある。
・非接触の利点を活かし、粉塵や静電気を出さないことから、歩留まりが向上する。
・画質の改善や洗浄プロセスが不要なことから、コストの削減が可能となる。
・装置の停止は赤外線LEDランプ交換時のみであることから、装置稼働率の低下を極力防ぐ。
・Mobile端末用基盤の大型化に対しては、ランプの選択のみで対応ができることから、職人的管理手法が不要となる。
・ラビングでは擦りきれない微細な部分も配向制御ができることから、画質の改善につながる。
※また、フォトリソグラフィ法の代替技術としても、液晶分子の方向を揃えるための構造物が無用となることから、次のようなメリットがある。
・構造物を配置する製造プロセスが不要となることから、コストの削減が可能となる。
・バックライトからの光の透過率や開口率が上がることから、コントラストの向上、反応速度の向上につながる。
・ディスプレイの高精細化や10%程度の消費電力の削減が可能となる。
■ラビング法の液晶配向
■フォトリソグラフィ法の液晶配向
■光配向装置と使用ランプ ※イメージ図、ウシオ電機製
■光配向用途と適応装置