低圧ナトリウムランプ

low pressure sodium lamp ていあつなとりうむらんぷ

解説

低圧ナトリウムランプとは、蒸気圧が0.1~0.5Paにおけるナトリウムのアーク放電の発光を利用する熱陰極放電ランプのこと。
ランプ効率は実用光源の中で最も高いが、主として黄橙色のD線(波長 589.0 nm/589.6 nmの共鳴線)の単色光を発光することから、演色性が悪く、対象物の色の識別は困難である。
トンネル照明、ラジオアイソトープ取扱室内の照明などに使用されている。

ランプは二重管構造で、発光管が外管ガラス内に配置される。発光管はナトリウム蒸気に侵されない特殊なガラス管をU字形に曲げ、両端に電極を封じ、U字管内壁に数個の窪みを設けて、金属ナトリウムが凝結するようになっている。
発光管(ガラス管)内には、始動補助用ガスとして、ネオンと少量のアルゴンの混合ガスが封入され、始動電圧を下げている(ペニング効果1))。発光管の保温のために外管ガラスを設け、内部は高真空に保たれている。また、その内面には、透光性で赤外放射を反射するITO膜が施され、発光管からの赤外放射を有効に発光管に戻し、点灯時のナトリウム蒸気圧が0.4Paになるように、管壁の温度を260℃に保ち、D線(589.29nm)を効率よく発光している。

1)ペニング効果とは、ガス(A)とガス(B)の2種類のガスを混合し、ガス(A)の電離と、ガス(B)の準安定励起電圧が接近していると、放電開始電圧が低下する現象を言う。