アーク放電
arc discharge
あーくほうでん
解説
アーク放電とは、熱電子放出を主とした放電のこと。
放電開始後、電流を増していくと、グロー放電を経て、アーク放電に至る。グロー放電に比べ、アーク放電の陰極降下は小さい。
※一般に陰極の電子放出には、熱電子放出、電界放出など、さまざまなものがあるが、それらが同時または個々に働いている。
2. 始動
- 電極を予熱する。(熱陰極放電ランプのみ必要)電極を加熱して熱陰極放電が可能な状態にする。
- 無負荷電圧を印加する。イグナイタやスタータによる高電圧印加時に事前にグロー放電電圧以上の電圧が準備されランプに印加される。
- 絶縁破壊する。イグナイタやスタータなどで発生する高電圧で電極間を絶縁破壊し導通させる。
3. グロー放電
- 放電ガス中の陽イオン(Ar+、Hg+など)が、電極間の高い電圧による電界により加速され、陰極に衝突して電子をたたき出すことにより電子放出が維持される。
- グロー放電は、温度は低くても生じるが、安定器には比較的高い電圧での電流供給能力が必要である。
- グロー放電の間は弱い光放射を伴う。
- 陽イオン(Ar+、Hg+など)の衝突エネルギーにより陰極が加熱され、陰極の温度が上昇し、熱電子が放出され、アーク放電に移行する。
4.アーク放電
- 陰極からの電子放出は、陰極温度が十分高い状態において維持される。そのため、比較的低い電圧で維持できるが、陰極温度維持のため、比較的大きい電流が必要になる。
- 強い光放射がある。
- キセノンランプなどの希ガス放電ランプでは、アーク放電開始とともに瞬時に強い光放射が開始される。
- 水銀ランプやメタルハライドランプなどの金属蒸気放電ランプでは、アーク放電が開始しても放電空間内の金属が蒸発するまで時間がかかり、強い光放射を開始するまでに数分程度を要するものもある。