セラミックメタルハライドランプ
解説
セラミックメタルハライドランプとは、発光管が透光性アルミナのセラミックでできたセラミックメタルハライドランプのこと。通常のメタルハライドランプの発光管は石英ガラスでできている。
セラミックは発光管内部の封入物質との反応が少ないことから、発光管自体の劣化が抑制され、ランプの長寿命化が可能となる。これによって、セラミックメタルハライドランプは、以下のような特長を持つ。
・高いランプ効率
・優れた演色性
・安定した光出力(光色、光束維持率)
これらのことから、少ない灯数で広範囲を照明するような大空間などに適し、用途としては、商業施設、スポーツ施設、工場・産業施設のほか、公園・街路・広場・道路などの屋外施設がある。
高輝度放電ランプ(HIDランプ)とセラミックメタルハライドランプ
実用的な水銀ランプが1901年に開発され、これによって発光効率が大きく改善され、大光束が得られるようになった。1930年代以降、発光管、電極、封入ガス、蛍光体などの技術改良が進み、効率・演色性に優れた蛍光水銀ランプが開発され、工場・産業施設などの屋内施設や、道路・公園・広場などの屋外施設で普及した。1960年代には、石英の発光管内に金属ハロゲン化物を封入し、蛍光水銀ランプよりも演色性と発光効率を改善したメタルハライドランプが開発された。また同時期に、セラミックの発光管を用いて、高圧のナトリウム蒸気圧中の放電を利用した高圧ナトリウムランプも開発され、低圧ナトリウムランプに比べ、より演色性が改善された。これによって、水銀ランプ、メタルハライドランプ、高圧ナトリウムランプが出揃い、これらのランプを総称して高輝度放電ランプ(HIDランプ、High Intensity Discharge Lamp)と呼ばれるようになった。
1970年代のオイルショックを契機に、高輝度放電ランプの効率改善が進み、メタルハライドランプに高圧ナトリウムランプのセラミック発光管技術を融合させたセラミックメタルハライドランプが開発された。1990年代に入ると、セラミックメタルハライドランプは、演色性の改善、光色及び光出力の安定化などが向上し、高演色性が求められる店舗照明などに急速に浸透した。2000年以降は、地球環境問題などから、さらなる省エネルギー化が求められ、高効率形のセラミックメタルハライドランプが製品化された。これによって、セラミックメタルハライドランプは、一般照明用光源の中で、最高の効率・演色性を兼備した省エネルギー光源となった。