USHIO

光技術情報誌「ライトエッジ」No.29(2007年8月発行)

2007電子回路基板技術大全(電子ジャーナル)

(2006年11月)

FPC用露光装置
UX-3100SR/UFX-2458B

ウシオ電機株式会社 システムカンパニー
田中良英

1. はじめに

フレキシブル基板(FPC)業界では生産性の向上を目的として、枚葉搬送からロールtoロール露光装置の需要が増えてきている。

従来は、拡散光を使用したコンタクト露光装置が主流であったが、配線ルールが100µmピッチから40µmピッチと高密度化するにつれて、マスクに付着するごみ、レジストを原因とするパターン欠損による歩留り悪化が問題となり、平行光プロキシミティ露光装置が採用されるようになってきた。さらに、40µmピッチ以下では、高解像度投影レンズを搭載した投影露光装置が採用されている。

FPC は、今後とも市場の拡大とさらなる配線の微細化・高機能化が進み、アディティブ法、多層FPC基板への採用検討が始まっている。

当社は、幅広で生産性の高いプロキシミティ露光装置「UX-3100」シリーズを高機能化するとともに、今回新たに、30µmピッチ以下のファインピッチCOF量産をターゲットとした投影露光装置「UFX-2458B」を製品化した。

2. プロキシミティ露光装置UXー3100SR

「UX-3100SR」は、テープ幅最大300mm幅対応のロールtoロール露光装置である。ガラスマスクを使用し、ワークとの平行出しを行い、任意のギャップを自動で設定し露光を行う。ワークの搬送は、グリップフィード方式の採用により高速な搬送を実現した。アライメント方式は、画像処理によるオートアライメントを採用している。

特徴は以下の通りである。

  • ①プロキシミティギャップ量を面内4点でレーザ変位計により測定することで、安定したギャップ量を保持。高解像で安定した面内寸法のパターニングを実現。
  • ②配線ルールや多様な感光材に合わせ、様々なオプション光学系、フィルタにより、プロセスに最適な照度、波長、視角を選択することができる。
  • ③薄膜基板用分割吸着式マイクロホール吸着板、多孔質ステージなど、基板材料の特性に合わせたステージを選択可能。

3. プロジェクション露光装置UFXー2458B

UFX-2458Bは、テープ幅最大165mm対応のロールtoロール露光装置である。マスク像を投影レンズを介し、ワーク面に照射し露光する。ワーク搬送方式はノーテンション搬送を採用することにより、基板伸縮を極力抑えている。また、ワークの基板伸縮に合わせ、投影レンズの倍率を自動変倍することも可能である。

特徴は以下の通りである。

  • ①i線単色高解像度レンズ「UPL-58EX」を搭載。従来レンズに対し高解像度化、面内寸法安定性アップを実現。
  • ②4.3kW高輝度ショートアークランプと高照度化インテグレータレンズの採用により、高照度化を実現している。
  • ③基板伸縮による露光パターンの位置ずれを極小までに抑えるために、投影レンズ投影倍率を±0.1 %まで自動変倍することが可能。
  • ④焦点深度が深い投影レンズを使用することで、多層FPC、受動素子の埋め込み基板など、基板内に凹凸があるワークに対しても安定した回路形成が可能。
  • ⑤アディティブ用スパッタ銅基板をはじめ、薄膜のFPC に対しては基材に余計な張力をかけないテンションフリー搬送が重要となる。従来のテンションフリー搬送を高速化するため、裏面透過アライメント方式を採用し、アライメント~搬送スピードを5秒/ショット(実力値)に向上させた。
  • ⑥両面基板や多層基板で求められる高精度の位置決めを実現するために、4 カメラアライメント方式の採用も可能。

表1 FPC用露光装置「UX-3100SR」、「UFX-2458B」仕様一覧

4. 今後の開発課題

今後、ファイン化に適した投影露光方式とファインパターン用プロキシミティ露光装置の高機能化により、さらなる生産性の向上を図り、多様なアプリケーションでの採用が広がる、FPCの市場のニーズを先取りした装置の提案を進めていきたい。

今後の開発のための検討課題は以下のようになっている。

  • ①露光エリアを広げ生産効率/配線設計の自由度を上げるため、拡大投影レンズを採用。40µmピッチ対応レンズ「UPL-48EX」(250mm径、投影倍率1:1.25)、50µmピッチ対応の「UPL-63EX」(320mm径、投影倍率1:2)の投影レンズを搭載する装置の製品化とともに、さらなる大口径レンズの開発を検討している。
  • ②FPCメーカーで一般的な250mm幅テープを投影露光するために、2列露光対応ステージ方式を検討。2列露光の場合、初めに片方の1列を露光し、リールを架け替え、さらに1列を露光する。
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