生物多様性の保全に向けて

基本的な考え方

ウシオグループは、地球環境との共生のため、全事業領域において事業活動を継続するために、自然資本の利用及び保全の重要性、また生物多様性との関わりを認識し、回避、最小化、回復に努めます。

TNFD提言に基づく開示

ウシオは、生物多様性に関する取り組みを継続的に実施してきました。今回、TNFD提言に基づく情報開示を行い、開示の拡充を進めています。また、調査を通じて、ウシオの事業活動が生物多様性に依存する観点および、生物多様性の保全に与える影響について確認しました。
その結果、ウシオの事業活動にとってネガティブな影響が生じる可能性は極めて低いと確認しています。

ガバナンス

生物多様性の保全含む環境に関する活動は、5つの経営のフォーカスのテーマとして取り組んでいます。サステナビリティ推進部署がコーディネートし、定期的に業務執行の意思決定機関である経営会議ならびに取締役会への報告が行われ、取締役会は、これらの活動の進捗状況および対応状況を監督し、必要に応じて管理・是正の指示を行います。

戦略/リスクとインパクトの管理

当社は、自然関連のリスク、依存ならびに影響度の評価にあたり、「LEAPアプローチ」に則って調査を実施しました。その結果、当社が特に注力しているインダストリアルプロセス事業に関連する製造拠点である御殿場事業所について、当該拠点の立地および当該拠点で行う事業活動が、生物多様性の保全において特に注視対象であると判断しました。
なお、判断したリスク/インパクトについては、取組状況などを取締役会へ適宜報告しています。

L:Locate

ウシオは、AqueductおよびIBATを用いて、ウシオグループの国内・海外のすべての既存直接操業拠点(自社製造拠点および主要事業所)のリスク等を調査しました。
Aqueductでは、4つの指標に基づき拠点別リスク調査を行い、リスクレベル「3」以上(5段階評価)を優先地域である高リスク地域として特定しました。その結果を踏まえ、当社の事業特性を考慮し、生産拠点内で特に注視が必要な拠点を抽出しました。
IBATでは、2つの指標に基づき拠点別リスク調査を行い、各指標に該当する地域を特定しました。さらに、該当拠点の排水量およびエネルギー使用量を確認し、両数値が大きい拠点を周囲に与える影響が大きい拠点と定義づけました。そのうえで、該当する2拠点を、特に注視が必要な拠点として位置づけました。

評価項目 ツール 特に注視が必要な拠点(生産)
河川の洪水リスク(ベースライン) Aqueduct ウシオ電機 御殿場事業所
USHIO AMERICA, INC. Irvine Factory
CHRISTIE DIGITAL SYSTEMS U.S.A., INC.Allen/Texas
USHIO PHILIPPINES, INC.
干ばつリスク(ベースライン) Aqueduct
水ストレス(ベースライン、2030年、2050年) Aqueduct
沿岸富栄養化の可能性 Aqueduct
KBA IBAT ウシオ電機 御殿場事業所
ウシオ電機 京都事業所
保護区 IBAT

上記の結果を踏まえ、AqueductおよびIBATのいずれの調査においても該当したウシオ電機御殿場事業所を、最も注視が必要な拠点と位置づけました。



E:Evaluate

ENCOREを用いて、ウシオグループの事業に該当する「ガラス及びガラス製品製造業」「光学機器及び写真用装置製造業」「電気照明器具製造業」「特殊産業用機械製造業」「その他の電気機器製造業」の自然への依存、影響関係を調査しました。各項目の内、Medium以上を依存/影響の程度の大きいものと位置づけました。
そのうち、当社の事業特性を踏まえ、依存については、「水の浄化」、「水の供給」、「暴風被害の軽減」を、影響については、「撹乱」、「GHGの排出」、「非GHGの排出」、「有害な土壌および水の汚染物質の排出」、「固形廃棄物の発生および排出」、「水使用量」を、比較的影響度の高いものと位置づけています。

A:Assess

「E」の結果を踏まえ、「L」で最も注視が必要な拠点と位置づけた御殿場事業所特有の項目について、以下のとおり実態を確認しました。

項目 実態確認の結果
水の浄化(依存) 有害物質の河川への流出、地下浸透を防ぐため、フッ素排水処理施設から河川に排出する際は無害化処理された処理水に対して、pH、フッ素濃度のモニタリングを常時行い、万一pH、フッ素濃度に異常がでた場合には排出をストップする設備を導入しています。
これらを踏まえ、今後の事業活動における水の浄化に関するリスクは低いと考えます。
水の供給(依存) 御殿場事業所では、湧き水など自然から直接採取した水ではなく、水道局によって適正に管理された豊富な水を使用しています。これにより、生態系サービスへの依存は生じていないと考えています。
これらを踏まえ、水は自然資本の一部ではあるものの、長期的に安定した供給に関するリスクは低いと考えます。
暴風(嵐)被害の軽減(依存) 御殿場事業所は、防風林や防砂林による工場保護の機能には依存していません。また、近年の台風・集中豪雨にともなう被害等が発生したシナリオを基に、事前にリスクを想定・抽出し、リスク防止や低減のため、また事業活動を継続していくための計画を策定しているため、リスクは低いと考えます。
撹乱(例:騒音、光)(影響) 著しい騒音、光害により、生物多様性の損失に間接的につながる可能性があることを認識しています。
ただ、御殿場事業所は産業専用エリアである工業団地内に立地しており、更に事業活動の特性上、事業所周辺地域に生息する生態系に影響を及ぼすレベルの騒音、光害は発生しておらず、日本の法律に準拠した対応を行っています。
非GHG(温室効果ガス以外)の大気汚染物質の排出(影響) 製造プロセスにおいて排出している有害物質は、排出量によっては、生物多様性の損失につながる可能性があることを認識しています。
そのため、揮発性有機化合物(VOC)について、事業所内においては作業環境測定を年2回実施し適正に管理されています。
有害な土壌および水の汚染物質の排出(影響) 事業所が有害物質を排出した場合、生物多様性の損失に間接的につながる可能性があることを認識しています。有害物質の河川への流出、地下浸透を防ぐため、フッ素排水処理施設から河川に排出する際は無害化処理された処理水に対して、pH、フッ素濃度のモニタリングを常時行い、万一pH、フッ素濃度に異常がでた場合には排出をストップする設備を導入しています。
固形廃棄物の発生および排出(影響) 製造プロセスで発生するプラスチックなどの固形廃棄物は、法令を遵守した処理を行っているため、生態系への影響は限定的と考えています。

P:Prepare

実態確認の結果、御殿場事業所では生物多様性の観点における依存/影響は低いことが確認できました。

指標と目標

Assessの結果を踏まえ、特定拠点における依存/影響の度合いは低いことが確認できましたが、グループとして特に注視が必要な事項として掲げているGHG排出量削減を、認定されているSBT目標に沿って、生物多様性の観点からも進めていきます。
なお、GHG削減目標は、TNFD提言の定めているGBFターゲットに関連する中核開示指標の対象になっています。
GBF・・・昆明・モントリオール生物多様性枠組

  • 指標

    ウシオは、以下の2つの指標を設定し、進捗管理を行っています。

    GHG排出量(SCOPE1、2、3)※1
    環境配慮型製品、スーパーグリーン製品の売上高※2

    ※1:GHG排出量実績について、ウェブサイトにて全連結範囲で、地域別、スコープ別に開示しています。排出量はGHGプロトコルに基づき算定しています。

    ※2:当社では環境性能を向上させた製品を「環境配慮型製品」として認定し、その中でも既存製品とは一線を画した革新的環境対応技術を採用した製品を「スーパーグリーン製品」として認定しています。

  • 目標

    近年の気候変動に関する国際的見地から、当社では2018年にSBT(science-based targets)目標を設定し、認定されました。この目標値は定期的に見直しを行い、現在SCOPE1+SCOPE2については、2030年度までに2017年度比で55%、SCOPE3については同48.3%のGHG排出量削減を目標値としています。事業所での活動等によるCO₂排出削減のみならず、環境配慮型製品の開発により、SCOPE3にあたる製品使用段階でのCO₂排出削減も進めてまいります。さらに現在、2050年までに当社グループでSCOPE1+SCOPE2においてカーボンニュートラルを達成する目標の設定を検討しています。