環境経営

環境方針

基本理念

ウシオは地球環境との共生が企業としての最重要課題の一つであると認識し、事業活動のあらゆる場面における、環境保全への取り組みを通じて、持続可能な社会の実現に貢献していきます。

環境に関する行動計画と活動推進体制

環境に関する行動計画

ウシオは、従来から地球環境への負荷を低減するための取り組みを行っていますが、現在の環境への取り組みは、長期的な視点に立ち、企業の持続的価値向上のために、環境に関する機微を捉え、それを事業に結びつけるための重要な活動となっています。
今後もリスクを見極めると共に、ウシオの事業拡大機会を逃さないこと、加えて環境負荷低減につながるような取り組みをサプライチェーンまで含めて行っていきます。
また、ウシオは、日本の気候変動に関する政策・関連法規制を支持しており、温対法(地球温暖化対策の推進に関する法律)や省エネ法(エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律)といった関連法規制の支持・遵守など、持続可能社会の実現に向けた取り組みに貢献しています。

環境に関する活動推進体制

環境に関する活動は、5つの経営のフォーカスのテーマとして取り組んでいます。従って、他のテーマとともにサステナビリティ推進部署がコーディネートし、定期的に業務執行の意思決定機関である経営会議ならびに取締役会への報告が行われ、必要に応じて指示が出されます。また、各専門委員会は、これまでの環境活動をベースに近年の動向を反映した取り組みを行っています。それ以外にも必要に応じて個別テーマ毎に経営層へ報告を行い、指示を取り組みに反映しています。なお、気候変動に関する担当役員は取締役執行役員副社長 COO 兼CSuOが任命されています。

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TCFD提言に沿った情報開示

ウシオは2021年にTCFD提言の趣旨に賛同しており、気候変動が自社の持続的成長に影響を与えることを認識しています。今後も、TCFDの提言に基づき、気候変動がウシオの事業に及ぼすリスクと機会を分析し、経営戦略に反映するとともに、関連する財務情報・経営情報の開示を進めていきます。

ガバナンス

サステナビリティ推進部署と関連する委員会で検討した気候関連課題について、代表取締役社長が議長を務め、取締役、執行役員等の経営陣が参画する「経営会議」にて年4回以上審議し、年1回以上の頻度で審議結果を取締役会へ報告しています。また、取締役会では気候関連目標及びそれに対する進捗のモニタリングを実施しています。
役員報酬の算定方法の評価指標にはESG目標の達成度も盛り込まれ、環境を含むESG評価スコアに連動する報酬制度を導入しております。

環境活動推進体制

ガバナンス

戦略

気候変動シナリオの選択

IEA(国際エネルギー機関)等が公表している気候変動シナリオから1.5~2℃シナリオ及び4℃シナリオを選択し、2050年における気候変動の影響を分析しました。

分析のプロセス

ウシオの各事業へ影響する主な気候変動リスク・機会を外部情報に基づいて整理し、それぞれのリスク・機会に関する将来予測データを収集しました。これに基づいて、脱炭素社会への移行に伴うリスク・機会と気候変動に起因する物理リスクについて事業影響を試算し、ウシオの事業に2050年までに影響を与えうる重要なリスクと機会を特定しています。

  • 重要リスク・
    機会の特定
  • 将来予測
    データの収集
  • 事業影響の
    試算
  • 対応策の
    検討

シナリオ分析結果

重要度の高いリスク・機会の財務影響を分析した結果、特に気温が上昇する4℃シナリオにおいては、拠点が洪水等で被災することによる影響が大きいことを特定しました。併せて、該当する生産拠点への適切な保険の手配により、気候変動リスクが財務へ与える影響を軽減できることを確認しました。

気候変動領域における主なリスク

リスクの種類 時間軸※2 リスクの概要・財務影響
リスクの対応策
移行リスク 炭素価格、各国の
炭素排出量削減目標・政策
炭素税負担 中期 <リスクの概要・財務影響>
GHG排出への炭素税の賦課により、操業コストが1.5℃シナリオでは 2.0億円、2℃シナリオでは1.6億円増加する。※1

<リスクの対応策>
再エネ導入などによるGHG削減
原材料価格の上昇 銅価格 長期 <リスクの概要・財務影響>
低炭素技術(太陽光発電やEVバッテリー等)に関連する需要の増加に伴い、各鉱物の需給が逼迫。その結果、各鉱物の価格が上昇し、原材料コストが増加する。

<リスクの対応策>
サプライチェーン管理の強化
亜鉛価格
モリブデン価格
物理リスク 水不足 渇水による
逸失利益
中期 <リスクの概要・財務影響>
水不足に伴う取水制限により 、製品生産 が遅延・停止し、逸失利益が発生する。

<リスクの対応策>
水不足リスクのある一部拠点での循環水採用
異常気象の激甚化 洪水による物損・
逸失利益
短中期 <リスクの概要・財務影響>
洪水により生産拠点 が被災し、製品生産 が遅延・停止。物損コスト及び逸失利益が4℃シナリオでは66.8億円発生する一方で、被害額のうち66.7億円は保険により補填可能。

<リスクの対応策>
事業継続計画(BCP)の構築によるレジリエンス強化
保険料の増加 短中期 <リスクの概要・財務影響>
洪水・台風の激甚化による生産拠点の被災リスクの増加に伴い、保険料が上昇。保険コストが増加する。

<リスクの対応策>
状況に応じた保険内容の見直し

気候変動領域における主な機会

機会の種類 時間軸※2 機会の概要・財務影響※3 機会実現の対応策
製品・サービス 事業創出
本部
短中期 製品の環境性能向上、及びカーボンフットプリント削減 に係る関心の高まりと需要増加により、環境配慮製品開発が拡大する。 高い地球温暖化係数 を持つN2Oガス分解システムの開発
Industrial Process
事業部
短中期 財務影響度:高 GHG排出量の削減に貢献する環境対応車(EV車等)や家電製品、電子機器に使用される半導体の需要拡大に伴った関連製品の販売が拡大する。 半導体関連製品(パッケージ向け露光装置、超高圧UVランプ等)の開発と提供
Visual Imaging
事業部
短中期 財務影響度:中 省エネ需要の高まりにより電力効率の高い光源への切り替え、新規導入が拡大する。 より良い電力効率製品への改善に向けた取り組み、開発
資源の効率化 短中期 製造プロセス、流通プロセスの効率化によるエネルギーコストの削減 ・エネルギー目標の達成
・高効率設備や輸送手段 の切り替え、新規導入
エネルギー源 短中期 省エネ推進による再生可能エネルギーの 低コスト化と活用機会の拡大 ・再生可能エネルギーへの切り替え
・自社工場の太陽光発電の設置
その他 短中期 脱炭素に取り組む企業として社会的評価が高まることによる投資機会の増加 ・GHG排出削減量の開示
・規制動向や関連機関の動向への対応
  • ※1 IEAによる炭素価格の予測値と当社の各国におけるGHG排出量から試算

  • ※2 時間軸 短期:1年以内、中期:1~3年、長期:3年以上

  • ※3 財務への影響度 高:売上1,000億円以上、中:売上100億円~1,000億円、低:売上100億円未満




  • リスク管理

    リスク管理においては、リスクの種類ごとに責任部門及び対応責任者となる取締役または執行役員を任命しています。気候変動リスクは、全社で導入している「リスクマネジメントプロセス」の下で定期的に識別し、リスク管理委員会(委員長:代表取締役社長)にて評価・モニタリングされ、重大と評価されたリスクは取締役会へ報告されます。
    また、気候変動に関する機会はサステナビリティ推進部署が中心となり関係部署及びグループ会社に係る機会を網羅的に抽出する仕組みを構築し、重要度と妥当性などから識別、評価しています。モニタリングとして定期的に経営会議に報告し、重要と評価された機会は取締役会へ報告されます。

    指標と目標

    • 指標

      ウシオは、以下の2つの指標を設定し、気候変動に関する進捗管理を行っています。

      GHG排出量(SCOPE1、2、3)※1
      環境配慮型製品、スーパーグリーン製品の売上高※2

      ※1:

      GHG排出量実績について、ウェブサイトにて全連結範囲で、地域別、スコープ別に開示しています。
      排出量はGHGプロトコルに基づき算定しています。

      ※2:

      当社では環境性能を向上させた製品を「環境配慮型製品」として認定し、その中でも既存製品とは一線を画した革新的環境対応技術を採用した製品を「スーパーグリーン製品」として認定しています。

    • 目標

      近年の気候変動に関する国際的見地から、当社では2018年にSBT(science-based targets)目標を設定し、認定されました。この目標値は定期的に見直しを行い、現在SCOPE1+SCOPE2については、2030年度までに2017年度比で55%、SCOPE3については同48.3%のGHG排出量削減を目標値としています。事業所での活動等によるCO₂排出削減のみならず、環境配慮型製品の開発により、SCOPE3にあたる製品使用段階でのCO₂排出削減も進めてまいります。さらに現在、2050年までに当社グループでSCOPE1+SCOPE2においてカーボンニュートラルを達成する目標の設定を検討しています。

      SBT